特別支援学級から普通学級へ
転校(転籍)する方法
年に何件か、特別支援学級から普通学級へ
転校(転籍)したいという相談があります。
ほとんどの場合、保護者は、
担任や校長、教育委員会を信頼し、誠意をもって話せば
分かってもらえると思い、話をした後に、
「会」にきます。
「会」に来るのは、転校が実現しないからです。
文科省も、県も、市も、
子どもの就学に関しては保護者の意思を尊重する、
と言っていますので、本当なら「転校」も「転籍」も、
保護者が話し合って実現できるはずのことです。
でも、実際はそうなっていません。
◇
今回は、特にひどい対応を受けたようでした。
小学校2年生の時に、
学区外の特別支援学級から、普通学級に転校したい
という希望を教育委員会に相談したところ、
3年生から地域の小学校に「転校」はできたが、
学籍は「特別支援学級」のままだったそうです。
その後も、普通学級への転籍を求めて話し合いを
続けてきたがだめだったと、
本当に苦しそうに、泣きながら話をされました。
今年、2月22日のことでした。
両親は、学校と教育研究所を信頼して、
1年以上、何度も何度も話し合ってきたのでした。
あまりにひどい話なので、
とりあえず「要望書」を出して対応を考えることにしました。
急いでいたので、10行余りの短い要望書を書きました。
これを持って、2月25日に、
仲井さんと両親の三人で市教委に行きました。
◇
【要望書】
A市教育委員会教育長 ○○様
2009年2月25日
児童名
保護者名
会(代表名)
【普通学級転籍に係る要望書】
貴職におかれましては日頃より子どもたちの学校生活に
つきまして、ご指導及びご尽力いただきましてありがとうございます。
昨年の「本来公費でまかなうべき学校行事の職員に係る費用を、
障害児の保護者にのみ請求する問題に関する要望書」の
内容に関しても、当事者の気持ちに沿った対応ならびに
再発防止のために取り組んでいただき心より感謝申し上げます。
先日、市内の小学校の特別支援学級に在籍しているAくんと
ご両親より、1年前から普通学級への転籍を求めて、
教育研究所で相談を続けてきたがいまだに実現できない
という相談がありました。
本人とご両親が、普通学級転籍を希望していますので、
これ以上時間をかけることなく、
速やかに普通学級への転籍の手続きをお願いいたします。
なお、お忙しい中恐縮ですが、要望事項に対する回答を
3月3日までに書面にていただきますよう重ねてお願い致します。
記
1・A君の、同校の普通学級への転籍手続きを
速やかに行ってください。
2・特別支援学級から普通学級へ転籍する児童に関して、
障害をもつ生徒へ十分な理解のある担任を配置するなど、
学校全体での適切な配慮をお願いいたします
以上
☆ ☆ ☆
その結果。
3月3日に市教委から電話がありました。
「要望書の通りに手続きを進めます」
ということでした。
去年の春の「学童の通所保障」の件や、
「林間学校の介助員の費用を、障害児の親に請求する」件の
ときとは違い、会で交渉するまでもなく、
すんなりOKになりました。
いつも思うことですが、
教育委員会や学校というところは、
親が「個人」で話し合うときと、
「会」で話し合うときと、対応が違います。
これは、99.9%事実です。
親が子どものことで、学校に要望があるときには、
「要望書」という形が、かなり有効です。
というか、「要望書」という形がないと、
そもそも、「親の要望」そのものを、真に受けていない
扱いをされることがあまりに多いのです。
「真に受けていない」?
では、どう思っているのか?
「親の愚痴」か、もんすたーのクレーム程度にしか
受けとっていないような気がします。
そうでなければ、どうしてAさんは、一年以上、
泣き苦しまねばらならなかったのでしょう。
両親が子どものことを思い、考え、
1年以上、真摯に教育委員会と話し合って、だめだったことが、
どうしてたった10行余りの「要望書」という紙一枚で、
実現するのでしょうか。
特別支援教育をめぐっては、
あまりに、理不尽な対応が多すぎます。
なにはともあれ、
「特別支援学級から普通学級への転校(転籍)」は可能です。
◇
※〔追記〕
なお、このブログではコメントを下さる方のアドレスは、ブログを書いている私に表示されません。
もし、具体的な情報が必要でしたら、こちらのコメント欄にアドレスを記入していただけば、ブログ上では「非公開」のまま、直接メールで情報をお送りします。
この記事を書いた2009年当時は、転籍まで数週間、数ヶ月かかっていましたが、ここ数年は手続きが迅速になりつつあります。
(2016年)現在は、最短、翌日!!から転籍可能な市もあります。(千葉市)
2016年6月14日追記
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yo
Irieman
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