ワニなつノート

「わたしのものがたり」と裸の王様 (OYA-1)


「わたしのものがたり」と裸の王様 (OYA-1)


≪裸のOYA様≫

私はその物語を、長いあいだ間違って理解していました。
自分の本当の心を「偽ること」、
強い力に強制されて、「沈黙させられること」、
「嘘を言うこと」が問題なのだと思ってきました。
ところが、話はそう単純ではありませんでした。

            ☆

OYA様を騙した「詐欺師の織物師」は、
始めにOYA様と家来たちに、こう言ったのでした。

「わたしたちは、どんな障害のある子どもでも、
その子なりの発達をし、幸せになれる布を作れる。
色や柄がきわめて美しいだけでなく、
その布で作った服には不思議な力があって、
その子にとって一番ふさわしい幸せが手に入るのです。
ところが子どもを愛していない親や、
愚かな親には、その布もその子の幸せも見えないのです。」

OYA様は、「それは素晴らしい」と考えました。

「それを着ていれば、
この子も自分の能力を発達させることができて、
この子が幸せを手にすることができるのだ」
と考えたのです。

さて、そろそろ布がどれくらいできたか知りたいものだ、
とOYA様はお考えになりました。

けれども、障害のある子どもを愛していなかったり、
愚かな親には、その布は見えないのだと考えると、
心臓が妙な感じになってしまわれました。

そこでOYA様は、子どもが生まれたときから
お世話になっている信頼できるお医者さんに、
様子を見に行ってもらいました。

「あの先生は、この子が生まれた時から
大事にしてきてくれたし、病気の時には
本当に心配して助けてくれた命の恩人だから、
きっとあの先生なら、この子が幸せになる道が
一番よく見えるだろう」と考えたのです。

ところが、いくら子どもを大事にしてくれる先生でも、
病気を治してくれる先生でも、
「ない」ものは見えません。

人のよい先生は、二人の詐欺師が
仕事をしている広間に行ってみました。
二人はそこで、空の機織り機の前に座って、
仕事をしているふりをしていたのです。
そんなこととは知らない先生は、こう思いました。

神よ、守り給え。
わしには何も見えないぞ。そして目を大きく見開きました。
二人の詐欺師は、先生に、
どうぞもっと近くにお寄りになってくださいと言い、
美しい模様、素晴らしい色だとはお思いになりませんか、
と尋ねました。

これを着ていれば、子どもはきっと伸び伸びと発達し、
幸せになることでしょう。

かわいそうな先生はいっそう目を大きく開けてみたのですが、
でも、何も見えませんでした。

「おお神よ、わしは子どもを愛していないということか! 
しかし、そんなこと、誰にも知られるわけにはいかん。
わしは何日も寝ずに治療と看病を続け、
この子の命を救うためにがんばったのだ。

そのわしが、この子の幸せをみることができない人間なのか?
とんでもない、わしには布が見えぬなどと、
口が裂けても言うわけにはいかん!」

そこから、すべての人間が、自分以外の人間には、
その立派な布が見えていると、信じ始めるのです。
見えないのは、自分だけかもしれない、と。

それが見えないのは、
自分が子どもを愛していないから、ということです。
それが見えないのは、
障害を差別しているから、ということです。

しゃべれなければ、字が書けなければ、
幸せな人生を送れるはずがないと、
障害児を差別しているから、
子どもの幸せが見えないのだということになります。

だから、
「どの人も、自分には見えないということを
気づかれたくなかったのです。」

(つづく)


(※ この物語はフィクションであり、
現実の世界のこととは関係ありません(-。-)y-゜゜゜

コメント一覧

yo
するどい、指摘(o|o)

それを、どうやって書こうか、迷ってるんだあ(>_<)

「だましてる」って気づいている「詐欺師」もいるし、
それが「だましてる」ことだって、
気づいていない「詐欺師」もいるんだよね~~~
(@_@;)

ishizaki
「詐欺師の織物師」は自分が詐欺をしているって自覚しているんでしょうか・・・
自分が詐欺をしているって気づくぐらい、子どもの気持ちを考えているなかな・・・

先日、児童相談所に手帳の更新に行ってきました。
判定する担当の職員が最後に
「身の回りのことは自立できないと、将来本人のためにならないよね。訓練しないとね」
と感想のようなことを言ったので
「訓練なんてしなくても、ちゃんと身についていきますし、できることはできるようになりますからいいんですよ」
といったら
「まあ、お母さんの気持はわかりますが、現実はね・・・」
と言うから、
「こういう場所で、そういうことを言うと、普通の親はもっと、もっと、子どもに練習、訓練をさせなければ子どもを不幸にさせてしまうと、プレッシャーになってしまうんです。そういう言葉が、親子を追い詰めるんですよ・・・」などなど
と、つい私もアツくなって反論しちゃったのです

世の中には「詐欺師の織物師」はアチコチに生息していますね。
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