詩集「こどもという手続き」
《授業》
授業の中身は、どれもあまり役に立つようなものではない。
養護学校も普通学級の授業も通級も、たいして役にたってはいない。
授業の中身そのものは、人生の役には立たない。
障害をもって堂々と生きる役には立たない
親も先生もきょうだいも、そのことはよく知っている。
知ってはいるが、そもそも授業とはそんなものだと思っているからなにも言わない。
でも、時々小さな子が本当のことを教えてくれる。
「こんなことができるようになりました」と得意げに報告する先生に、頭を下げる母親。
そのうしろで子どもがささやく。
「お兄ちゃん、こんなの前からできてるよね」
学校の授業で役にたつことがあるとすれば、
子どもたちが同じ場所で、同じこどもの手続きを体験していることなのだ。
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