《障害という言い方ではない言葉遣い》
「障害のある俳優を起用する」というテレビ局の方針でドラマを制作する」というドラマ「パーセント」があるらしい。『障害を持つ俳優を多数キャスティングして、作品自体と劇中ドラマの内容がシンクロしていることで話題』なのだそうだ。
そのプロデューサーのインタビューに次のような表現があった。
「撮影上、特別困ったということはありませんでした。一般的なドラマとの違いも、そんなにないと思います。ただ、『障害者』とひと言に言っても、今回集まってくださった俳優さんそれぞれに違う種類の障害があります。車椅子ユーザーの方がいて、聴覚障害の方もいれば視覚障害の方もいるなかで、かなり密にコミュニケーションを取らないと、お芝居の細かいディテールが伝わらないのだと痛感しました。また、撮影の準備段階でも、台本をどういう形状で渡したらいいのか、どうしたら着替えやすいか、どこまでサポートが必要なのかなど、細かいところを俳優さん一人一人に確認しながら対応していけたことがよかったと思っています」
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私はまだドラマは見ていない。だから中身の話ではなく、「障害」という言葉遣いについてメモしておく。
『俳優さんそれぞれに違う種類の障害があります』
ここは、ふつうに「障害」という言葉遣いだ。
でも、『車椅子ユーザーの方がいて、聴覚障害の方もいれば視覚障害の方もいるなかで…』
ここは、一昔前なら、『身体障害の方がいて、聴覚障害の方もいれば視覚障害の方も』ではなかっただろうか。
なぜか、「身体障害」だけが、障害という文言を使わず、「ユーザー」という言い方になっている。
この言葉遣いに合わせるなら、「点字ユーザーの方もいれば、手話ユーザーの方もいるなかで…」となるんじゃないのか。
そうすると、「補聴器ユーザー」「白杖ユーザー」「スマホユーザー」となる。
「言語障害」も含めて、「スマホユーザー」「iPhoneユーザー」であれば、そこに「障害」とか「壁」はあいまいになっていく。
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今年から、「就学相談会」を「障害のある子」とは言わず、「より多くのケア・サポート・調整を必要とする子」にしてみた。
その時にも思った。「より多くのケア・サポート・調整を必要とする子」?
「ケア・サポート・調整」を必要としない子は、どこにいる?
これって、子どもである、っていうことだよね。
つまり、子どもとは「ケア・サポート・調整」ユーザーだということ。
その上で、「より多く」ユーザーもいる。
「メガネユーザー」も「人工呼吸器ユーザー」も「医療的ケアユーザー」も。
(つづく)