ワニなつノート

ふつう学級の裁判のこと


ふつう学級の裁判のこと




昨日は、K君の第一回の控訴審があった。
K君は神奈川から東京に引っ越して、小学校に通っている。

裁判の中で、運動会(の代わりの体育発表会)でみんなと一緒に踊るK君の動画が流された。裁判後の報告集会にはK君も参加してくれた。


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帰りの電車で、律子さんとK君の顔の話になった。

「目の輝きがぜんぜん違う。子どもってすごいね~。ちょっと会わないうちに。学校に通えて本当によかったね~」。
3月に会った時とはぜんぜん顔が違うという。


私はK君と話したことはなく、2月の集会で見かけて以来だったが、一瞬別の子かと思った。すっかり大人っぽくなっていた。小2と小3、それ以上の変化に見えた。大げさに言えば、「幼児さん」から「少年」くらい、印象が違った。

みんなと一緒に学校に通うことで、子どもの表情がこんなにも変わるものかと驚いた。
小学校に通えない子に長く会っていなかったから、忘れていた。

そして、「目の輝き」という言葉を聞いておもった。
ああ、つながりに咲く花を見る目の輝きって、このことなんだなぁ。

正木さんが送ってくれた「あつぼんが消える写真」を思いだしていた。
目に見える「子どもたちの姿」と同時に、目には見えない「つながりに咲く花」があり、その両方をみるときに、子どもたちの目は輝くらしい。



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「障害者と共に学ぶ」実現遠く
 相模原殺傷4年 難病児、公立小入学断られ

【毎日新聞2020年7月27日】


転校先の小学校に通う光菅和希さん(右)と悦子さん=東京都世田谷区で2020年7月22日午前10時28分、高田奈実撮影



 相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で利用者ら19人が殺害され、26人が負傷した事件から26日で4年となった。殺人罪などで死刑が確定した植松聖死刑囚(30)が事件を起こした背景には障害者への差別意識があった。


神奈川県は事件を教訓に障害者との共生社会の実現を目標にうたうものの、障害の有無にかかわらず一緒に学ぶ「インクルーシブ教育」の実現は遠く、保護者は県などの姿勢に疑問を投げかけている。



世田谷区立小受け入れ、転居


 川崎市に住んでいた光菅(こうすげ)和希さん(8)は筋力が低下し、呼吸や歩行などが困難になる指定難病「先天性ミオパチー」で人工呼吸器を装着している。

2018年4月の就学にあたり、父伸治さん(51)と母悦子さん(50)が公立小への進学を希望したのは同学年の子どもたちと過ごした幼稚園で成長を実感したからだ。


 一人っ子の和希さんは大人に囲まれる環境で過ごした。

伸治さんは入園後「友達が来ると、にこーっと見たことのない笑顔を見せるようになった。自己主張をするようにもなった」と成長に気づいたという。

卒園後も子ども同士の関わり合いが必要と感じた。


 しかし、川崎市教育委員会から指定された就学先は公立小ではなく県立特別支援学校だった。

希望は受け止めてもらえず、障害を理由にした判断は違法として地元小学校への就学を求める訴訟を起こした。


 「和希の時間を無駄にできない」と考え、訴訟を続けながら受け入れ先の学校を探し、実家に近い東京都世田谷区立小を見つけた。


今年3月下旬、結婚後に購入した川崎市の戸建て住宅を手放して転居することを決めた。
区から就学の通知書を受け取った時の喜びを「信じられない思いだった」と振り返る。




 和希さんは現在、3年のクラスに在籍し、週に3~4日、悦子さんと一緒に通う。

当初は戸惑う児童もいたが、和希さんが教室に入ると「かずくんが来たよ」と話しかけてきたり、悦子さんの椅子を出してくれたりする子が増えたという。


 帰宅すると疲れてぐったりすることもあるが、悦子さんが「明日は行く?」と聞くと、「行く」と答える。

新型コロナウイルスの影響で休校が続いたため授業のペースは速く、和希さんがついていくのは難しい。それでも伸治さんは「ものすごく成長していると感じる。(小学校に)入れてよかった」と話す。



「県は教訓にできているか」

 市と県の姿勢に納得はしていない。

特に県は相模原事件を受け、16年10月に「ともに生きる社会かながわ憲章」を策定。障害者との共生社会の実現を掲げている。

県教委は17年から知的障害のある生徒を対象に県立高の一般入試とは別枠で面接のみの試験をする「インクルーシブ教育実践推進校」の取り組みを始めたものの、重度障害のある生徒の受け入れは義務教育も含め進んでいない。


 相模原事件の判決から2日後の今年3月18日、横浜地裁は「障害者に対する不合理な差別とまでは言えない」として和希さんらの請求を棄却した。訴訟での闘いは続けるという。


 弁護団の大谷恭子弁護士は「障害者を隔離した教育では、障害者はいなくてもいいという植松死刑囚のような思想を生む。インクルーシブ教育なくして、障害者への差別はなくならない」と強調する。伸治さんは「県は相模原事件を教訓にできているのか」と問いかけている。

【高田奈実】


就学先、本人や保護者の意見が尊重されないケース多く


 障害者を排除しないインクルーシブ教育の考えを原則とする障害者権利条約は、2006年に国連で採択され、日本では14年の批准を契機に議論が進んできた。


 文部科学省によると、19年11月時点で、医療的ケアを必要とする子どもの在籍人数は公立の特別支援学校の6222人に対し、公立小中学校が1146人と5倍以上の開きがある。人工呼吸器を必要とする子どもは幼稚園、高校も含めて特別支援学校に1502人いるが、公立校は83人にとどまっている。


 都道府県別でみると大阪府で公立小中学校に在籍する子どもが最も多く、206人(公立特別支援学校は359人)に上る。神奈川県は73人(同446人)で、10人に満たないところも17府県に上るなど、地域のばらつきが大きい。


 文科省は障害のある子どもの就学先の決定について「本人・保護者の意見を最大限尊重し、教委、学校等が教育ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則」とした上で「最終的には教委が決定する」としている。


 しかし、実際は本人や保護者の意見が尊重されないケースも多い。光菅和希さんの弁護団の大谷恭子弁護士によると、保護者が公立小中学校を希望しても、市町村教委の理解を得られず特別支援学校に就学・進学するケースがほとんどという。


 大谷弁護士は「判決は障害者権利条約に違反しており差別的だ。(和希さんが東京都内の公立小に)就学できたことはうれしいが、判決が全国の人工呼吸器を着けた子どもと保護者に与える影響は大きい」と話す。
【高田奈実】
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