「あほリズム」
(889)
領土に関して言えば、酷寒のロシアはかねてより南下進出を望
んでいたが、対するウクライナは世界有数の穀倉地帯で、その土
壌は「チェルノゼム」或は「土の皇帝」と呼ばれる肥沃な黒土で、
かつてウクライナを占領したナチス・ドイツは大型ダンプを投入
して「チェルノゼム」をドイツへ持ち去ったほどで、占領国が土
を奪ったなんて前代未聞なので記憶しているが、ウクライナはロ
シアの不毛の領土などいっさい望んでいない。つまり、ロシアに
とってはウクライナ侵攻は失うもののない得ることの大きい戦略
なのだ。
(890)
この戦略は、中国の台湾併合についても一考になる。つまり、
中国共産党は台湾へ侵攻しても台湾政府が中国の領土を取り返す
ことはないだろうと思っている。つまり、失うもののない得るこ
とが大きい併合だと思っている。しかし、かつて蒋介石率いる中
国国民党は「国共内戦」に敗れて台湾へ遁れるまでは中国全土を
支配していたのだ。その台湾政府が中国共産党が支配する中国全
土を捲土重来することがもはや起きるわけがないとは断言できな
い。
(891)
長い目で見れば「民主主義国家 対 独裁国家」の対立は、「エン
トロピーの法則」に従えば、水平化つまり民主化の方へ向かうに
違いない。