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「叡知」(番外編)

2012-06-24 03:40:48 | インポート




              「叡知」(番外編)


 今、ふと思い出したのですが、何年も前のニュースが伝えた話で、

イギリスに住むまったく繋がりのない二つの家族が、出産のために

たまたま同じ病院に入院して、どちらも無事に子どもを産んで、それ

ぞれが知り合うこともなく退院してどちらも子どもを育てて随分経って

から、その病院は子どもを取り違えたことを発表しました。その時に

初めて二つの家族は、自分たちの子どもが本当の子どもでないこ

を知ったのです。病院の記録によって自分の子どもがどこの家族

に育てられたのかが分かりました。そこで、お互いの家族が会って

話し合いをして、子どもの繋がりを通して仲良くしていくことに決めま

した。成長した子どもを取り戻すだとか病院を訴えるだとかせずに、

お互いに自分たちの子どもを育ててくれた家族に感謝してその後も

自分の本当の子どもとも交流を持ち付き合っていくことにしたのです。

テレビのインタビューを受けた二人のお母さんは、

「だって家族が増えたんだからこんな楽しいことはないでしょ」

みたいなことを微笑みながら答えていました。

 ささやかなことかもしれませんが、不幸な出来事と捉えてしまうよう

なことを敢て幸せに転換することが人間の「叡知」ではないだろうか

と思います。



「叡知」②

2012-06-24 01:47:05 | インポート



           「叡知」②


 私は、この「叡知」というものにどうしてもこだわってしまうの

ですが、と言うのも、時代が大きな転換を迫られている時には、こ

れまで通りの知性では、何故なら知性とは過去の記憶からもたらさ

れるのですから、新しい考え方が生まれて来ないと思うからです。

これまで近代社会は自由主義経済の下で競争原理に従って生存競争

を受け入れて発展して来ましたが、いよいよ経済がグローバル化し

て、世界は近代化し均一化され、何れアマゾンの奥地にもマクドナ

ルドのチェーン店がオープンし、やがて密林も資源として扱われ未

開の自然が失われ、そもそも自然循環の中で暮らしていた人々は近

代人とは別の価値観で暮らしていたのだが、遂には彼等も近代社会

のルールに従わされ、世界経済は緩衝地帯を失い、一方の豊かさは

他方の貧しさの犠牲の上に築かれるゼロサム世界をもたらすでしょ

う。当然、均一化した世界は人々の均一化した思考から生まれます。

すでに、歩くことよりも車に乗って行く方が楽だというのは世界中

の誰もが認めることですが、しかし「安楽」はその他の価値よりも

優先されると言えるでしょうか。もちろん、我々の知性が求める合

理性はそんなことで戸惑ったりしませんが、果たして、自動車があ

れば歩くことは価値を失うのでしょうか。仮に、歩くことが何より

も楽しいことだとすれば、半日かけて歩くところを自動車に乗って

わずか一時間足らずで着いてしまうことがどれほど馬鹿げたことに

思えくることでしょう。それにも拘らず、合理化して余った時間に

は運動不足を解消するために、ランニングマシンの上で仕事もせず

にひたすら駆けることに費やされるのがどうして合理的だと言える

でしょうか。つまり、経済合理主義は我々の身体的価値までも経済

的価値に置き換えてしまい、我々は主体として「生きる悦び」とい

う目的を見失い、労働者という経済的手段、それを家畜と呼ぶのは

誤りだろうか、に堕落してしまったのだ。そういう経済合理主義の

ロジックから抜け出し、もう少し人間性を回復させるには、合理性を

越えた感性から生まれる「叡知」こそが求められているのではない

だろうか。

 ずいぶん話が逸れましたが、われわれの知性は、恐らく近代文明

の呪縛を解いて目の前にある経済合理主義を棄てて、車に乗って楽

(らく)して行くことよりも、歩くことを楽(たの)しむことを選ぶこ

とはまずないでしょう。国土を未来永劫に亘って放射能物質で汚染

する国家存亡の危機に陥れた原発事故を起こしてさえも、我々は再

び同じ誤りが起る可能性のある原発の廃止をたった一年で覆してし

まいました。そこには、コウノトリの親が自らの身を犠牲にしても

必死になって我が子を守ろうとする「叡知」の片羽も見受けられな

い。何としても繰り返さないという煩悶の後が見えない。ただ、賢しい

知性で経済を優先する為に過去の誤りを糊塗したというだけではな

いか。それすら実際は怪しいが。しかし、知性からは新しい創造を生

む「叡知」はもたらされないとすれば、我々に降り濯ぐ日射ならぬ放射

線はいったい誰が身を挺して遮ってくれるというのだろうか。




「叡知」

2012-06-22 04:10:34 | インポート



           「叡知」


 「叡知」とは、辞書によれば「すぐれた知恵。深く物事の道理に

通じる才知。」(大辞泉) とあっさり書かれているだけで、それ以上

の記述も見当たらなかった。「叡知」とは我々の知恵や理性を越え

てあるものだと思っていたが、先のブログの「親心」に載せた、コ

ウノトリの親が雛たちを日差しから守るために両翼を拡げて遮って

いる姿を見て、コウノトリには失礼だが、彼らに元々そんな知恵が

備わっているはずはないと思い、何故親鳥はそんな行動ができたの

か不思議だった。仮にそんな知恵が元から備わっていないとすれば、

親鳥は羽毛もまだ生え揃っていない雛鳥たちが直接浴びる日射に

耐えられずに衰弱していく姿を見兼ねて、居ても立ってもおれなくな

り、その親心から翼を広げて日陰にする行為を無心で行っていたの

ではないだろうか。それは、たぶん知恵からもたらされたというよりも、

雛鳥たちを何としても守りたいという一心が行為をもたらしたのでは

ないだろうか。

 とすれば、知性を越えて「叡知」が在ると考えるのは反対ではな

いかと思った。我々の知性は生命が生み出した「叡知」がもたらし

たのではないか。つまり、知性とはその「叡知」が堕落した成れの

果てではないのか。そこにはあの親鳥が見せたような雛鳥に対する

強い執着がない。ただ原理に従ってものごとを行えば思い通りにな

ると信じている。しかし、世界は知性のマニュアルによって創られ

ているのではない。だから、知性以外の「叡知」が生まれず想定外

の事態に対処できない。恐らく、問題はその関わり方ではないかと

思う。大津波による原発事故を想定外の出来事と捉えるか、しかし、

その危険を想定して警鐘を鳴らしていた人だって居たではないか。

我々は、本来備わっていたはずの「叡知」を生む生命力を失い、そ

の抜け殻の知性だけで世界を捉えているのだ。そこからは、あのコ

ウノトリの親が思い付いたような「叡知」は生まれない。その「叡

知」とは、自らを犠牲にしてまでも我が子を守りたいという強い一

念からしか生まれないのではないか。「叡知」を伴わない知性から

は新しい創造は生まれて来ないことをコウノトリは教えている。しか

し我々の知性は、それを動物的本能と片付けてしまい、原発事故

を想定外の出来事と言って退ける。だが、自らの保身から生まれ

る知性からは新しい創造をもたらす「叡知」は決して生まれて来な

いだろう。むしろ、賢しい知性が破綻して生命の根源に立ち帰らざ

るを得なくなった時にこそ「叡知」らしきものに導かれるのではない

だろうか。しかし、生存環境を失ってしまえばどうにもならないはず

だが。







「親心」

2012-06-21 01:56:35 | インポート



                「親心」


 何でそんなことを知っているんだろう?

 これぞ「叡知」だ!

 それにしてもおかあさん、暑かろうに。

 亡くなった母を思い出して泣けてきた。

 

朝日新聞デジタル 2012年6月20日22時3分

翼を広げてヒナに日陰をつくるコウノトリの親鳥=6月7日、兵庫県豊岡市野上、小崎晃さん撮影

翼の日傘でヒナ「涼しい~」 豊岡のコウノトリ


 国の特別天然記念物・コウノトリの親鳥が兵庫県豊岡市の人工巣

塔で、翼を広げてヒナに日陰をつくる姿を、全日写連会員の小崎晃

さんが撮影した。

 撮影は今月7日。ヒナが卵からかえったのは5月下旬。コウノト

リの野生化に取り組む兵庫県立コウノトリの郷公園は「ヒナが小さ

な時期にたまに見られる行動」と説明している。(新井正之)

 


 「The Weight  The Band」

2012-06-12 15:35:06 | インポート



    「The Weight  The Band」


 夜中に用を足しに階下へ降りると、身内の者がラジオを点けっ放

しで寝ていて、それから聞き覚えのある音楽が流れていた。ザ・バ

ンドの「The Weight」だ。しばらく用を足すのも忘れて闇の中で聴い

ていた。

 若かった頃、ザ・バンドの「ラスト ワルツ」という解散コンサートの

ライブ映画を映画館で4、5回は見た。それ以来 ザ・バンドはお気

に入りだった。しかし、なぜ今頃ザ・バンドがかかっているのか思

ったらドラマーでこの歌でもボーカルのリヴォン・ヘルム (Levon 

Helm)が先日亡くなったからだろう。曲が終わると番組はNHK「ラ

ジオ深夜便」だった。へえー、「ラジオ深夜便」って演歌ばっかりじゃ

ないんだ、と感心しながら用を足した。私の青春の音楽です。  

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<object width="420" height="315">             「The Weight  TheBand」</object>
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<object width="420" height="315"> この緩さが何とも心地良い。誰か知らないんだけれどあの三姉妹</object>
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<object width="420" height="315">とそのお父さんがいい(そっくりなんで違うはずがない)。</object>
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