「アース・オーバーシュート・デー」改稿
国際シンクタンク「グローバル・フットプリント・ネットワーク
(GFN)」は、2017年8月2日が、2017年の「アース・
オーバーシュート・デー」であると発表しました。これは、人類に
よる自然資源の消費が、地球が持つ一年分の資源の再生産量とCO2
吸収量を超えた日を意味します。つまり、この日以降の2017年の
残された日々を、人類は地球の生態系サービスの「原資」に手を付け
ながら、「赤字状態」で生活していくことになります。
[https://www.wwf.or.jp/activities/2017/08/1378201.html]
われわれが追い求める幸福な暮らしは地球環境を貧しくして成り立
っています。そして、われわれが消費したり排出したりして失わせた
地球の再生能力はそのまま未来の地球環境の貧しさになります。すで
に地球環境は再生可能な自然循環システムが賄い切れないほどの自然
破壊や温室効果ガスの排出によってその裂け目は年々大きくなってい
ます。年単位で見ると8月2日以降の地球環境の再生能力は未来の地
球環境を取り崩して使っているのです。つまり、こんな生活がいつま
でも続くはずはありません。すでに地球温暖化がもたらす気候変動に
よって異常気象などの様々な弊害がニュースによって伝えられその限
界を教えてくれています。近代文明が永続性のない繁栄であるとする
ならそれは人類進化の傍流に過ぎません。今の日本の暮らしを世界中
の国が望めば地球がもう一つあっても賄いきれません。やがてその傍
流は行き止まりゲームオーバーを迎えるに違いない。すでに新興国だ
けでなく途上国でさえも全速で近代化を進めているからです。つまり
、一つしかない地球の上でわれわれの欲望はもっと多くの地球を求め
ているのです。フランスの思想家サルトルはかつてこう言いました
「我々はつねに自分自身に問わなければならない。もしみんながそう
したら、どんなことになるだろうと。」
近代科学文明はその局面に於いては自然を支配することができまし
たが、しかし永続的な持続性はありません。自然循環は回帰と生成に
よって再生されてその循環は謂わば永久運動ですが、科学技術の生ん
だ動力エンジンが排出するガスが再びオイルに再生されることはあり
ません。循環性を持たない科学技術が自然循環に繋がって、閉じてい
た系が寸断され循環が崩れようとしています。しかし、われわれは自
然環境が破壊されればまず生存そのものが危ぶまれる自然内存在であ
るということを改めて認識しなければなりません。そして、どうして
も近視的にならざるを得ない科学技術を、もう一度グローバルな視点
から見直さなければならい。
(おわり)