「ふたたび世界恐慌,か?」
かつて1929年10月24日(暗黒の木曜日)のニューヨーク株式市場の大
暴落に端を発した経済恐慌からおよそ百年が経とうとしているが、哲学者ニ
ーチェは、「無限の時間の中で有限の存在が流転を繰り返すとすれば、同じ
ものが永遠に回帰する」と「永劫回帰説」を説いたが、ただ、どの程度の周
期で繰り返されるのかは不明だ。しかし百年前の世界もその前夜には新型コ
ロナウイルス(スペイン風邪)のパンデミックに見舞われた。そして世界恐慌の
波は当然日本にも及び、昭和恐慌として吹き荒れた。これは私の勝手な憶測
に過ぎないが、世界はふたたび経済恐慌を繰り返すのではないかと怖れてい
る。温室効果ガスを排出する化石燃料の高騰がもたらす物価高など、その兆
候がないわけでもない。食料自給率39%しかないわが国が最も繰り返しては
ならないのは飢饉に襲われる食糧危機である。かつて世界恐慌の後には全国
で「米よこせ運動」(1932年)が燎原の火の如く拡がった。