「ボーダー」④

2012-03-12 04:27:23 | 境界性パーソナル障害(BPD)



              「ボーダー」



 さて、BPD(境界性パーソナリティ障害)とは、個人の中に、

個人的自我が形成されないまま、情報社会の中で社会的自我ばか

りが増長して、個人的自我が消滅して個人と社会のバランスが崩

れて倒錯が起こり、個人的自我にとっては手段であったはずの社

会が目的化してしまう。個人的自我は萌芽のうちに間引かれて社

会的自我だけが自我を形成する。すると、社会が無ければ「何の

ために生きているのか解らな」くなり、孤独に堪えられなくなっ

て自己を他者に依存するようになる。共同体や国家、或いは宗教

が生きる目的となり孤独の虚しさを埋める。実は、我々は症状の

軽重はあっても誰もがBPDに罹っているのではないだろうか?

 近代文明社会とは物質文明である。我々の暮らしは様々な機械

製品に依存して成り立っている。目の前にあるパソコンを取り上

げられたら、私は恐らく孤独に耐えられなくなって仕方なく本を

読むか、或いは孤独を忘れるために酒に手を伸ばすかもしれない。

というのも、私を形作る器官のほとんどは、皮膚にしろ五官にし

ろ外の世界へ向けられているからだ。自分以外の他者に依存せず

に自らの孤独と向き合うことなど一時も出来ないだろう。そもそ

も「自己」などといっても社会との関わり中から生まれた意識で

ある。自己の充実は社会との関わりの中からしか生まれないでは

ないか。いったい誰が文明を棄てて社会を棄てて自らの孤独と向

き合って自己を満たすことが出来ると言うのか。我々は「依存」

せずに生きることなど出来ないのだ。つまり、我々は、否、生き

ものすべては他者への依存によって生きている「依存症」である。


                                 (つづく)


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