「二元論」
(2)のつづき
形而上学的境涯、つまり「存在とは何か?」を問うことに生涯
をかけたニーチェにとって最終結論である実存主義思想はもの足
りなかった。「神は死んだ」「この世界が全てだ」では何よりも
精神の居場所がなくて忽ちニヒリズムに陥る。事実存在がすべて
であれば世界は意味を失う。しかしモノが消えても想いは残る。
そこでニーチェは新たな精神をニヒリズムにこそ求めた。超人思
想とは精神主義者ニーチェの実存主義からの転回にほかならない
。永劫回帰説とは「この世限り」の実存思想の全否定である。つ
まり、ニーチェもまた事実存在としての実存と本質存在としての
精神の二元論に逡巡した。形而上学的境涯とは最終結論が出たと
しても形而上学的思惟から離れることができない。
(つづく)
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