「あほリズム」
(657)
いずれ死んでしまう運命にとってこの世は「仮象の世界」で
しかなく、来世である「真の世界」での永遠不滅の幸福な人生
を信じて疑わなかった人々は、現代の我々よりこの世への執着
はなく、身に降りかかる不幸さえもさほど気にしなかったが、
ところが、科学の発達によって来世救済が如何わしく思えて来
ると、かつては信仰によって自らを律していた人々が、競って
「この世」限りの幸福を追い求めるようになり、こうして人間
は、かつては宗教による救済に依存し、そして今日では科学技
術がもたらす豊かさに依存するように、我々は決して身一つだ
けで自立して生きていくことができない。
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