大地が激しく揺れ、大津波が南相馬の沿岸部を襲った。その後に東京電力第一原発事故が追い打ちをかけた。あれから間もなく一年を迎えます。
南相馬市の農業も大打撃を受けいまだに復興できない状態が続いています。
南相馬市の津波被災を受けた農地は2600ヘクタール。国の被災農家経営再開支援事業を活用して、被災農家が中心となって農業復興組合を設立、がれきの撤去や除草作業にとりくんでいます。重機の入れない田んぼのがれきを手作業で取り除いていたり、雑草の生い茂った農地の草刈りをしている姿を毎日見ていました。小さなプレハブ小屋を事務所にして活動しているようです。いつもこいのぼりがすがすがしく泳いでいます。
雑草は放射能を含んでいるため牧草を丸めるようにまとめられて保管されるようです。
農地のがれきが取り除かれ道路も通れるように整備されていました。
被災された農家の皆さんは仮設住宅や借り上げ住宅から毎日通って作業を続けています。離れ離れになった地域の絆もこの作業で少しは回復するかもしれませんね。でも、被災農家の皆さんは自分たちの力では農家を再開させるのは無理だと実感しています。「もう機械や道具を全部流されたからでぎねーべ」という人がほとんどです。これからは農協や組合組織で経営しなければ復興はできないでしょうね。
今年も米の作付が自粛されました。25年度までに除染を完了させると言ってますが、汚染されたものの仮置き場や中間貯蔵施設の設置場所が決まっていないのに、果たしてどれだけ進めることができるのかわかりません。とりあえず地域の仮置き場が決まったところから除染を開始するようなことを言ってました。
以前の安心して暮らせる穏やかな南相馬市はいつになったら戻ってくるんでしょうか?
あの稲穂が風になびく風景はいつになったら見ることができるんだろうか?
平成22年に収穫した米も残り少なくなってきました。いよいよ自分で作った米以外の米を購入して食べなくてはならなくなります。今まで30年以上米作りをしてきて初めての経験です。
もう自分の田んぼで作った米を食べることができないんでしょうかね。
荒れた田んぼを見るたびにむなしさだけがこみ上げてきます。