桜を追いかけるように咲くのが、ピンクに色づいた「海棠」。バラ科の小高木で、淡紅色の五弁花が可愛らしい。
自宅近くの散歩コースで、春は、妙本寺の境内は桜から海棠(画像)へと華やぐ季節を迎える。永井路子さんご推奨のお寺で、騒々しい人出がないのが良く、この季節、鶯のさえづりも微笑ましい。裏手の小高い山には、「祇園山」なんて可愛い名前が付いており、北条高時の腹切りやぐらへ続く小ハイキングコースになっている。
穏やかな春の風情も、歴史を辿れば、ここは血なまぐさい匂いを残す場所でもある。源頼朝の嫡男、頼家の乳母方御家人の比企能員の屋敷跡で、頼朝亡き後北条に襲われ、滅亡した処。比企一族の墓があり、この辺りを比企が谷(ひきがやつ)という。麓の六角堂の幼稚園にその名を留めている。
更に、文士が多く住んだ鎌倉らしい逸話も残っている。小林秀雄が、親友である中原中也の女性と恋仲となり、境内の海棠の木の下で、中也に別れ話を迫ったという。寺では、知ってか知らずにか、このいわれのある海棠を柵で囲み、大切に保存しているから、粋な計らいのような、可笑しいような…なんとも微笑ましい。
自宅近くの散歩コースで、春は、妙本寺の境内は桜から海棠(画像)へと華やぐ季節を迎える。永井路子さんご推奨のお寺で、騒々しい人出がないのが良く、この季節、鶯のさえづりも微笑ましい。裏手の小高い山には、「祇園山」なんて可愛い名前が付いており、北条高時の腹切りやぐらへ続く小ハイキングコースになっている。
穏やかな春の風情も、歴史を辿れば、ここは血なまぐさい匂いを残す場所でもある。源頼朝の嫡男、頼家の乳母方御家人の比企能員の屋敷跡で、頼朝亡き後北条に襲われ、滅亡した処。比企一族の墓があり、この辺りを比企が谷(ひきがやつ)という。麓の六角堂の幼稚園にその名を留めている。
更に、文士が多く住んだ鎌倉らしい逸話も残っている。小林秀雄が、親友である中原中也の女性と恋仲となり、境内の海棠の木の下で、中也に別れ話を迫ったという。寺では、知ってか知らずにか、このいわれのある海棠を柵で囲み、大切に保存しているから、粋な計らいのような、可笑しいような…なんとも微笑ましい。