今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

清明

2009-04-05 | 行事
「清明」は、二十四節気のひとつ。太陽黄経が15度のとき。春分後15日目。すなわち、3月の節。太陽暦の4月5日頃にあたる。(今年は4月5日)。この日から穀雨(4月20日頃)までの期間。
「清明」とは「清浄明潔」の略で、『暦便覧』(天明7年【1787年】に出版、寛政10年【1798年】に再版された暦の解説書【太玄斎著】)には、「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれる也」とある。
「花信風」と呼ばれるのは、初春の風のことで、花の咲く時節の到来を告げる風である。そして、「二十四番花信風」とは、二十四節気中の小寒から穀雨までを八気二十四候に分け、それぞれに新たな風が吹くとして、それに応じて花を配したもの。
東南(巽)の方角から吹いてくる風を清明風といい、北風の吹く季節が終わり暖かい春になることを示している。晴れ渡った空には清浄明潔という語がふさわしい。一方、地上に目を移せば、百花が咲き競う季節であり、関東から西では桜も咲き、お花見シーズンになる。南の国からは燕(ツバメ)の渡りの便りが聞かれる頃。
中国で清明節は祖先の墓を参り、草むしりをして墓を掃除する日であり、「掃墓節」とも呼ばれ、また春を迎えて郊外を散策する日であり、「踏青節」とも呼ばれているそうだ。
中国の説話白蛇伝」で許仙と白娘子が出会ったのも清明節で賑わう杭州の郊外であったという。白蛇の化身である女性が中心人物で、人間の男性と恋に落ち夫婦となるが、正体が知られ退治されるという異類婚姻譚が物語の大きな枠組みとなっている。しかし翻案された作品には、恋愛の部分に重点が置かれハッピーエンドを迎えるものもある。この説話を元に書かれた日本の文学作品には、江戸時代後期の読本作者上田秋成の『雨月物語』の中の唯一の中篇小説の体をとっている『蛇性の淫』などがある。また、日本初の総天然色映画「白夫人の妖恋」(1956年、東宝)」やこの映画を基にした初のカラー長編アニメ映画「白蛇伝」などがある。余談だが、この映画で白蛇の精・白娘を演じた 山口淑子は本当に綺麗だったな~。この映画やアニメのことは以前に、このブログ「日本初のカラー長篇アニメーション『白蛇伝』が封切られた日」で書いた。
「清明」末候には、虹始見(にじ はじめて あらわる) 、 雨の後に虹が出始める(日本・中国) 。そして、穀雨(4月20日頃)になると、田畑の準備が整い、それに合わせるように、柔らかな春雨が降り穀物を潤し成長を促すようになるのである。
「虹」を意味する漢字(虹、蜺、蝃、蝀)に虫偏が多く存在する点を見ても解る通り、中国語では、虹を蛇や竜の一種と見なす風習が多いようだ。このような虹を蛇の一種と見なす風習については「虹蛇」を参照。
清明と言えば、平安時代の最も有名な陰陽師の1 人安倍 晴明を思い出す。その晴明が死んだ11世紀のうちに、早くも晴明は神秘化され、歴史物語の『大鏡』や説話集の『今昔物語』『宇治拾遺物語』などに晴明に関する神秘的な逸話を載せており(安倍晴明が登場する作品参照)、近世の人形浄瑠璃や歌舞伎 『蘆屋道満大内鑑』 (あしやどうまんおおうちかがみ。通称「葛の葉」。伝説上のキツネの名前) では、晴明は摂津国東生郡の安倍野(現在の大阪市阿倍野区)に住んでいた父・安倍保名(阿倍王子神社参照)と母・葛葉明神の化身である白狐(「信太森葛葉稲荷神社」参照)との間に生まれた子供とされおり、この芝居を始めとして、葛の葉伝承を題材とする作品には、多くの場合安倍晴明が登場し、最終的には清浄を意味する「清明」への改名を帝に願い出て聞き届けられているという。
『蘆屋道満大内鑑』 については、以下参考に記載の「※芦屋道満大内鑑」が詳しいが、この人間に命を救われた動物が、美女に変身して妻になるという民話と、陰陽師・阿倍晴明の母親(葛の葉)が明神様の化身である白狐であったという伝説を組み合わせて作られた作品であり、これも、稲荷信仰に基づいた動物報恩譚であり、狐の異類婚姻譚である。
「清明」には、さまざまな花が咲き乱れ、これからいよいよお花見シーズン。神戸の私の家の近くの桜の名所も今日から桜祭りが始まる。桜の花は、春の一時期に一斉に咲き、わずか2週間足らずの短い期間で散る。花見は、日本人の春に対する季節感を形成する重要な風物となっているが、その開花期間の短さ、そしてその花の美しさはしばしば、過ぎ去る悲しさや、人の命のはかな(儚)さ、になぞらえられる。そのためか古来、桜は人を狂わせるといわれ、実際花見の席ではしばしば乱痴気騒ぎが繰り広げられる。一方で花を見ながら飲む酒は花見酒と呼ばれ、風流だともされている。陰陽道では、桜の陰と宴会の陽が対になっていると解釈する。
「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」(古今和歌集53)
古今和歌集53
原業平
のこの歌の解釈は、この世の中に全く桜というものが無かったならば、春を過ごす心はのどかであったろうよ。・・といったことになるが、うららかな春という季節、桜の木の下での酒宴で詠まれた歌であるが、散り急ぐ桜の花に、今という時の過ぎ去る悲しみを歌っている。(以下参考に記載の「在原業平 千人万首」参照)。また、桜をこよなく愛し「願はくは花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月の頃」の歌を読んだ西行は自らの願いの通り、桜の咲く春に大往生している。このことは、以前このブログ、「西行忌」でも書いた。
落語の「花見酒」に登場するノー天気な2人の噺から「花見酒の経済」なる経済用語が出来話題になったことがあるが、今や、日本のみならず世界中が、花見酒で、散々浮かれたあとのキツイ負担(借金)がドウウ・・とのしかかってきている。(『花見酒の経済』のことについては、以下参考に記載の「hanamizake」を参照されるとよい)。
されど、テレビに出てくるどこかのアナリストのおばちゃんが言うように、皆が皆お金を使うのを止めてしまい、家に閉じこもってしまったら、この負のスパイラルは止まらないだろう。せめて、春の陽気に、お弁当は手作りでも良いから、お酒も少々もってお花見ぐらいには陽気に出かけて欲しいものだ。それだけでも、経済には少しはプラスになるのだよ。ただ、くれぐれも桜の木の下でのバーべキューやカラオケなど桜の木に良くないこと(木の下で火気を使用すると、木を傷める)やご近所迷惑は止してくださいよ。
最後にこのブログを書いていて、雅楽演奏家で今人気の東儀秀樹の 古今和歌集 恋歌と画像を背景にした素敵な曲があった。桜のこの時期などにぴったり。以下で聞けるよ。
YouTube - 古今和歌集 恋歌編 演奏:東儀秀樹 "NEW ASIA"
http://www.youtube.com/watch?v=Nzj1OHr8Bp8
(画像は、花見をする義経弁慶。Wikipediaより)
参考:
二十四節気-Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E5%8D%81%E5%9B%9B%E7%AF%80%E6%B0%97
風の待合室
http://www1.odn.ne.jp/kaze/index.html
清明節の文化_China.org.cn
http://japanese.china.org.cn/culture/2008-04/03/content_14187907.htm
安倍晴明 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E5%80%8D%E6%99%B4%E6%98%8E
※芦屋道満大内鑑
http://72.14.235.132/search?q=cache:S8vG7qHRRGsJ:kairos.web.infoseek.co.jp/kabuki66.html+%E6%99%B4%E6%98%8E+%E3%80%8C%E6%B8%85%E6%98%8E%E3%80%8D%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%94%B9%E5%90%8D+%E3%82%92%E5%B8%9D%E3%81%AB%E9%A1%98%E3%81%84%E5%87%BA&cd=2&hl=ja&ct=clnk&gl=jp
在原業平 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%A8%E5%8E%9F%E6%A5%AD%E5%B9%B3
在原業平 千人万首
http://www.asahi-net.or.jp/~SG2H-ymst/yamatouta/sennin/narihira.html
hanamizake
http://www2.kumagaku.ac.jp/teacher/~sasayama/macroecon/mailmagahanami.html
政治と経済に負のスパイラル:日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20080904/169639/
ラジオデイズ|落語・話芸の街|花見酒
http://www.radiodays.jp/item/show/300090
東儀秀樹 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E5%84%80%E7%A7%80%E6%A8%B9
二十四節気のページ
http://koyomi.vis.ne.jp/directjp.cgi?http://koyomi.vis.ne.jp/24sekki.htm
雨月物語 - goo 映画
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD23666/