今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

椅子の日

2009-04-14 | 記念日
今日(4月14日)の記念日に、「椅子の日 」 がある。オフィス家具などを手がける東大阪市に本社を置くオフィスレット株式会社が、”人間に最も近い存在の家具であり、背骨を支え、快適と安楽を与えてくれる椅子。座り心地の良い椅子と出会うことは、健康で幸せな気分を与えられる”との考えから、制定した日だそうで、日付は4と14で「良い椅子」と読む語呂合わせから。また、新入学、就職、転居などで新しいスタートを切る時期に当たることから、座り心地の良い椅子を贈る日となることを目指している・・・のだとか。
【 イス】を漢字では【椅子・倚子】と書く(スは唐音)。もともとは、「倚子」で、読みは「イシ」(シは漢音)であった。「倚」の字には、「よりかかること」の意味がある。goo国語辞書によれば、”禅宗渡来以後唐音で「イス」といい、多く「椅子」と書くようになった。中国伝来の座具。座部は四角形で四本の足がつき、鳥居形の背と勾欄(こうらん。補足:「勾」はマガルあるいは傾斜する:勾配の意味)形のひじ掛けがあり、敷物を敷いて用いた。天皇や高官の公卿が使用。”とある。
人が椅子を使い出したのは、古くは紀元前3000年頃のエジプト王朝の頃からと言われているようであるが、数々の遺跡の中に、強大な権力の象徴であったことを示す豪華絢爛な椅子が出土している。それが、エジプト第18王朝ツタンカーメン王の“黄金の玉座”と言われているものである(以下参考に記載の「[PDF] 黄金の玉座」参照)。又、代々イランのシャーたちの玉座として用いられた孔雀の玉座などを見ても分かるように、当時からイスは休息という実用性より、椅子に座ることは、人よりも一段高い座を占めるという意味があり、”玉座”としての権力や権威また優越的地位の座を象徴”する役割を果たしてきたようである。これは、現在でも、椅子は、天皇の椅子、大臣の椅子、社長の椅子、などの言葉として、その椅子に座る人物の役割を象徴して使われている。今、日本の総理大臣の椅子についているのは、麻生太郎首相であるが・・・・それは、何と輝いて見えることだろうか・・・????
冗談はさておき、中世において、特別な聖職者がすわる為のものとして椅子が使われ、デザイン的には中世キリスト教装飾に影響を受けた様式、ゴシックルネサンスバロックロココなどが近世に入るまで続くが、近代では実用性と芸術性を追求した機能的なデザインが発達する。伝統的には北欧やイタリアが有名であり、戦後ではイームズなどのアメリカ・モダンも有名である(以下参考に記載の「椅子 - MSN エンカルタ 百科事典 ダイジェスト」「ちょっとインテリア【No.40 椅子四方山話3】」等参照)。この椅子は、職人がひとつひとつ造りだす芸術品であったものから、椅子は長時間使用することが多いことから、やがて人間工学的な視点から構造設計された体を休めるもの、心地よいもの、民衆の生活用品として、そしてインテリア空間を造りだすデザインへ変化していった。
東洋の歴史を見ると、西欧同様に中国も「イス文化」の歴史を持つ。中国では北方騎馬民族の北魏の風俗から椅子の普及が始まり、の時代に一般階層までいきわたったようだ。 一方、日本や韓国では椅子をあまり用いない生活様式をしてきた歴史があるが、以下参考に記載の「畏れと祈り・群馬の埋蔵文化財」の中に見られる太田市塚廻り3号古墳( 6世紀前半のもの)から発見された「腰掛ける男子埴輪」(ここ参照)などは、支配者である首長のためのもので、西洋同様に、椅子そのものが首長の地位の絶対性を表していたものであろうと考えられているようだ。その後、日本では平安時代に身分によって、椅子、床子(しょうじ 。長方形の板の四隅に脚をつけた腰掛け。)などが用いられることがあったが、広く継続・普及しなかったが、屋外においては、戦場などで折りたたみ椅子(「床几(しょうぎ)」)や、また露天の茶店などでベンチに相当する椅子(「縁台(えんだい)」)は用いられた。尚、農家など多く見られる縁側はベンチ代わりに使われていたが、こんな縁側のない家では、縁台が縁側代わりになることもあった。
ただしこれらは一時的に腰を掛けるものであり、普段は畳に直接座る生活習慣を持っていた。また、仏教寺院では曲彔(きょくろく。法会のとき僧が掛ける腰掛)が用いられる事もあった(以下参考に記載の「郷土誌かすがい 第16号|春日井市:絹本着色 仁済宗恕(じんさいそうにょ)の像」参照)。
江戸時代以前でも西洋と交流・交易のあった場所や、教会や洋館などでは用いられていた。江戸時代までは椅子は一般には普及しておらず、そのため椅子に座るという生活習慣もなかった。
明治時代に入り文明開化を経ると学校や役場などでは椅子が用いられるようになったが、和室・畳文化の生活習慣の中では座布団などが椅子の役目を担っており、椅子を用いる必然性が低かったため、一般家庭に普及するにはまだまだ時間を要し、その後の、西洋文化の影響で洋間が取り入れられるようになってからである。
椅子と言えば、江戸川乱歩の短編小説『人間椅子』が思い出される。映画(1997年版と2006版がある。以下参考のgoo映画参照)にもなったし、テレビでもドラマ化(1970年、「江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎」の8話、サブタイトル「人間椅子・貴女は覗かれている」など)されている。探偵小説や推理小説が大好きな私は、若い頃に本を読んだか又、映画を見たかどちらかをしているので大まかなこと以外詳しいことは覚えていない。ただ、ある熟年美人作家の元に、彼女に強く惹かれている旨ねの不思議な告白文が突如送られて来る。そして、ある日届けられた椅子の中には、夫人にあこがれるその男が入っていた。椅子を通して感じる、憧れの人のやわらかさと温かみに、男は陶然とする・・・。といった内容のもので、乱歩と言えば、日本探偵小説興隆の祖とされることが多いが、その作品には、変態性欲的なものから、フェティシズム、グロテスクなもの等も結構あり、この作品もそのひとつといえる。映画化されたものは、1997年版と2006版では内容が少し違うが、1997年版が本に近いものだろう)。
こんなことに椅子を利用されては困るが、通常、椅子の用途は大きく分けると、作業するためと休息するための2つに分けられ、その目的に応じて座る姿勢が異なることから、一般的には複数の用途にまたがって利用することができない家具として位置付けられているようであり、用途に応じて複数の種類が存在する。無理に複数用途にまたがる利用をした場合は大抵の場合、椅子の一部が必ず破損すると言われているようだ。椅子の種類などは、ここを参照。
しかし、何でも相だろうが、座る椅子と言うものには、妙なこだわりがあり、私など、昔、神戸から大阪へ当時の国鉄(JNR。現在のJR)で通っていたときには、何時も同じ車両の同じ場所の座席に座っていたことを思い出す。
そんなことを思いながら、ネットで検索していたら、札幌在住のOLさんが自分の作った童話を掲載しているHP:Naoの「童話の森」(以下参考に記載のHP参照)の中に喫茶店の白いイスと言うものがあった。”ある街のはずれの古いがとても品の良いしっとりした落ち着きのある小さな喫茶店のかたすみに どっしりとした古ぼけた黒いイスがあり、店に入ると きまってそのイスに 座る男の人がいた・・・。”そんな黒いイスと、その前にある白いイスの童話である。面白いので、読んで見られると良い。
要するに人は本能的に、自分の座る「座」というものにこだわるものであり、特に我々のような古い男性には、その気持ちが大きいのかも知れない。だから、日本の伝統的な「囲炉裏」や「長火鉢」(以下参考に記載の「長火鉢」参照)などにこだわりを持つ。なぜなら、そこには、その家の主(多くは男性)の指定席が定まっているからなのである。だから、私の夢は家を新築した時に、「囲炉裏」か「長火鉢」を置くのが夢であったが、今は、洋式の家に住み、洋式のソファーを置いている。そして、日頃は、ソファーを使わずに、絨毯の上に座椅子をおいて座っている。そして、来客があった時だけ、ソファーを利用している。変な感じ・・・ですか???
(画像は「人間椅子 」【江戸川乱歩文庫) 】江戸川 乱歩 著)
日本記念日協会
http://www.kinenbi.gr.jp/index2.html
椅子学-Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A4%85%E5%AD%90%E5%AD%A6
椅子 - MSN エンカルタ 百科事典 ダイジェスト
http://jp.encarta.msn.com/encyclopedia_761558083/content.html
古代エジプト – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E4%BB%A3%E3%82%A8%E3%82%B8%E3%83%97%E3%83%88
[PDF] 黄金の玉座
http://www.oliverinc.co.jp/catalogue/nagomino-yado01_nolink/section3.pdf
孔雀の玉座 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%94%E9%9B%80%E3%81%AE%E7%8E%89%E5%BA%A7
玉座 の画像
http://images.google.co.jp/images?hl=ja&lr=&q=%E7%8E%89%E5%BA%A7&um=1&ie=UTF-8&ei=EyXgSfPlEZCHkAXX05XNCw&sa=X&oi=image_result_group&resnum=1&ct=title
畏れと祈り・群馬の埋蔵文化財
http://www.gunmaibun.org/osoretoinori/kohun.html
郷土誌かすがい 第16号|春日井市:絹本着色 仁済宗恕(じんさいそうにょ)の像
http://www.city.kasugai.lg.jp/bunka/bunkazai/kyodoshikasugai/kyodoshi16.html
人間椅子 - goo 映画(1997)
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD29794/index.html
人間椅子 - goo 映画(2006)
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD41655/index.html
ちょっとインテリア【No.40 椅子四方山話3】
http://www.murauchi.net/interior/chair.htm
イスの歴史
http://www.urban.ne.jp/home/kfso/rekishi.htm
音読み – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%B3%E8%AA%AD%E3%81%BF
Naoの「童話の森」
http://www7.plala.or.jp/mion/index.htm
長火鉢
http://www.pref.mie.jp/HAKU/HP/Osusume/nagahibachi.htm
オフィスレットHP
http://www.officelet.co.jp/blog/