今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

「所帯平均貯蓄100万円突破と発表」された日

2009-04-16 | 歴史
私の蔵書の1つ『毎日ムック「戦後50年」』の1970(昭和45)年のLIFEの蘭には、「4月16日、所帯平均貯蓄100万円突破と発表」と記されていた。因みに、この年の大卒初任給は、まだ、約5万円弱であった。
1970(昭和45)年の日本と言えば、先ず思い出されるのが、1964(昭和39)年に開催された、東京オリンピックに次ぐ国家的事業として大阪・千里で3月から6ヶ月間にわたり開催された日本万国博覧会(EXPO’70)である。「人類の進歩と調和」をテーマーにしたこの万博への参加国数は、77カ国4国際機関。同博覧会は経済大国”日本の姿を内外に示す絶好の機会となった。
♪こんにちは こんにちは 西のくにから
 こんにちは こんにちは 東のくにから
 こんにちは こんにちは 世界のひとが・・・・・以下略♪
日本万国博覧会のテーマ・ソング「世界の国からこんにちは」(作詞:島田陽子、作曲:中村八大)の歌に乗って、万博会場にどっと人が押し寄せ、会期中の入場者は6422万人(万博史上最高)を記録。計算上は当時の日本人の2人に1人が訪れたことになる。
ある調査によると、万博に来た人々はパピリオンへの入場など、「待つ」だけに平均4時間を費やしたという。体力と辛抱の「残酷博」とも呼ばれたものの果てに、人々は一体どんな「夢の未来」を垣間見ていたのだろうか。この万博のために大阪市など会場周辺都市でも地下鉄建設などの大規模開発が進めら、これら道路網の整備などの関連投資をあわせると、投じられた金も一兆円近くに及んだが、その経済効果は3兆3000億円ともいわれている。そして、万博終了後の10月には、国鉄(現JR)が “日本を発見し、自分自身を再発見する”をコンセプトに個人旅行拡大の為の「ディスカバー・ジャパン」のキャンペーンを全国的に展開し始める。
兎に角、この万博をきっかけに、日本は"経済大国へと上り詰める。バブル経済とその破綻に見舞われるのはまだ、その先のことである。史上最大の万博は、産業技術の進歩がひたすら誇らしく思えた最後の万博であったとも言える。しかし、このように万博が「日本の進歩と調和」を謳いあげる一方で、国内では、既に公害が最大の社会・政治・経済問題にもなっていた。
又、この万博を頂点に「いざなぎ景気」にも陰りが見え始める。建設関係等を中心に不況の影がひっそりと忍び寄ってはいたが、それでも、この年末の官公庁、民間合わせて3兆円の年末のボーナスを当てこんだ百貨店は不況どこ吹く風の史上最高売上を記録している。だが、12月も押し迫った30日の朝、大阪西成区のあいりん地区で、仕事にあぶれた労務者約500人が西成労働福祉センター事務所に押しかけ、一部は中央詰め所に放火、事務所などを荒らす事件が起きている。万博が終わってから、建設関係の求人が大幅に減少、日当も安く抑えられていることに怒りを爆発させたものである(朝日クロニクル「週刊20世紀」)。
そのような反面、学生に占拠された東大安田講堂事件が前年に終了すると、全共闘運動も終りを告げ、安保闘争等の反対運動の矛先は、この時以降、公害企業や無策の政治に向けられるようになるが、若者たちの間には、何をやっても熱中できない「しらけムード」が広がり、無気力、無関心、無責任を表す「三無主義」 が言われるようにもなっていた。 そして、浮かれた世の中には、似つかわしくない流行歌、鶴田浩二の「傷だらけの人生」(作詞:藤田まさと、作曲:吉田正)が流行った。
♪何からなにまで 真暗闇よ 
筋の通らぬ ことばかり 
右を向いても 左を見ても
馬鹿と阿呆の からみ合い
どこに男の 夢がある♪
又、映画では、既に、高倉健や鶴田浩二の2枚看板による東映の任侠物ものが流行っていたが、そこに女優の藤順子(現・富司純子)が登場するなど任侠映画がピークを迎え、これから先の暗い時代を予感させていたと言えようか・・・。
第二次世界大戦における敗戦による荒廃や混乱も1950年代の朝鮮戦争特需により1955年ごろには日本経済は戦前の水準に復興し、以後更なる高度成長が始まった。エネルギーは石炭から石油に変わり、太平洋沿岸にはコンビナートが立ち並んだ。財閥系企業が立ち直ったのもこのころだと言われる。この経済成長の要因は良質で安い労働力、余剰農業労働力の活用、高い貯蓄率投資の源泉)、高率の民間投資、輸出に有利な円安相場(固定制)、消費意欲の拡大、安価な石油、安定した投資資金を融通する間接金融護送船団方式、管理されたケインズ経済政策としての所得倍増計画、政府の設備投資促進策による工業用地などの造成や戦中の軍需生産のために発達した技術力が挙げられる。そして、1960年代には東京オリンピックの開催やベトナム戦争、そして、1970年に開催された大阪万博などによる特需にあり、1968年には国民総生産(GNP)が資本主義国家の中で第2位に達し、この終戦直後の復興から続く一連の経済成長は「東洋の奇跡」とまで言われていたが、この頃は日本人独特の「勤勉」「個より集団を重んじる(=の文化)」等が要因として挙げられた時期でもあった。
しかし、1964年頃から経済は急速に縮小し事態は一変。サンウェーブ、日本特殊鋼(現大同特殊鋼)、山陽特殊製鋼等大型企業の倒産、さらに大手証券会社各社が軒並み赤字に陥り、不況拡大を防ぐために政府は、1965年5月に山一證券への日銀特融、7月には戦後初である赤字国債を決めた。その後、公害病の発生、大量生産の裏返しとしてのゴミ処理などの公害の問題が高度経済成長期後半になると深刻化すると共に、1971年のニクソン・ショックによる実質的な円の切り上げ、1973(昭和48)年には第1次石油危機による「狂乱物価」にも見舞われた結果、翌:1974(昭和49)年には-1.2%と戦後初めて実質マイナス成長を経験し、高度経済成長はここに終焉を迎えた。その後は安定成長期(1973年~バブル景気崩壊の1991年まで)へと移行した。高度経済成長時代の終焉は第二次ベビーブームの終焉ももたらし、1975(昭和50)年以降日本は少子化・高齢化(少子高齢化)の道を歩むこととなった。
ところで、中立・公正な立場から、暮らしに身近な金融に関する幅広い広報活動を行っているという金融広報中央委員会が、2008(平成20)年2月27日、発表した平成19年の「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)」によると、貯蓄をしている世帯の貯蓄平均額は1,624万円、中央値は892万円であったという。これはあくまで平均額であり、一部の資産家の貯蓄額などにより、実態よりかなり多目の金額となっていることは誰もが承知のことである。ただ、この回の調査結果で、驚くのは、貯蓄ゼロの家計がなんと20.6%もあったということだ。1995(平成7)年迄は、ほぼ10%未満だった貯蓄無保有世帯が、その後増加傾向をたどり、ここ5年間は毎年20%を超えているという。従って、先に記載した、貯蓄をしている家計の平均貯蓄額や中央値に関しても、貯蓄を保有していない家計を含めた全所帯で見ると、その平均貯蓄額は、1,259万円、中央値は500万円に迄下がるのである(以下参考に記載の「今週の指標」参照)。
因みに、以下参考に記載の「独り言」のコラムの中の格差社会(1):データからみる格差」を見られると良いが、「2005(平成17)年2月にOECD(経済協力開発機構)は、「OECD諸国における所得分配と貧困」と題した「OECDワーキングレポート22」を公表したが、日本の貧困率が、OECD諸国の中で第5位で、15.3%だということは、かなり衝撃的な状況を示したデータであるといえる。ここでいう貧困率とは、再配分後所得を家族の人数で調整したうえで、可処分所得の中央値の50%未満の所得しか得ていない人々を「貧困者」として定義し、その「貧困者」が、全体に占める比率のことだそうであり、貧困率が高いということは、その国が貧困であるということではなく、その国内で、上記で定義した「貧困者」が多数いる、ということを示しており、それだけ、貧富の差が大きいということになるのだという。
振り返れば、少なくとも、1980年台までは、日本は「一億総中流」とか言われて、貧富の差の少ない国であると、思われていたのだが、バブルがはじけて10年一寸で、「貧困者」が、15%以上もいる、貧富の差の大きい国になってしまったということであろう。
貧困率は、「絶対的貧困率」と「相対的貧困率」とに大別され、それぞれ、計算基準が違うが、「絶対的貧困率」 は、当該国や地域で生活していける最低水準を下回る収入しか得られない国民が全国民に占める割合の事をいい、相対的貧困率よりも実状を反映しやすいという特徴があるが、ただ、「生活していける水準」をどのように設定するかによってさまざまな基準があり、設定者の主観が入りやすいという危険を持つともいえるが、もし、絶対的貧困を表す指標を、「貯蓄のない所帯」と設定すると、貯蓄のない所帯が1970年代から1980後半にかけては5%あたりを推移していたものが20%%以上に上昇ということは、東京オリンピックの前の年・1963(昭和38)年のデータをも上回る高さであり、確実に、日本の貧困率が上っているといえるだろう。
平均貯蓄額はあくまでも貯蓄の平均であるから逆に負債(借金)の平均もまた(総務省)統計に出てきており、多額の住宅ローンを抱えている世帯では貯蓄より負債の方が大きいということも当然あるだろう。
貯蓄額が幾ら必要かは、各世帯の生活状況により、それぞれ異なるので、単純に幾ら以上とはいえないが、通常は、35歳~40歳にもなると、年収の2倍程度の貯蓄額は必要だろうといわれている。総務省・統計局ホームページの家計簿から見たファミリーライフでは二人以上の世帯について貯蓄現在高階級別の世帯分布をみると,貯蓄現在高が200万円未満の世帯が最も多くなっているという。
今の日本の少子高齢化社会の状況や膨大な財政赤字をかかえている状況の中、今の経済収縮を打破するための財政出動により、ますます財政赤字が膨らむことを考えれば、今後、年々、厚生年金などの社会保険料、医療費の負担も増加するだろうし、エネルギー他食料品等の物価上昇、金利の上昇等によるインフレが懸念され、消費税等のアップもそう遠くない未来が控えている。因みに以下で、今現在の日本の財政赤字状態を見られると良い。自民党や公明党の選挙目当ての、貴重な税金のばら撒き「定額給付金」が、又、この数字にカウントされるのだろう。 リアルタイム財政赤字カウンター 9
http://www.kh-web.org/fin/
現在、国民1人当たり847万円と言う財政赤字は、夫婦2人に子供1人の計3人家族なら、その家庭は、既に、国に対して、3*847=2,541万円の借金を背負っているってことを肝に命じて置かないといけないよ。貴方の家庭の借金を引いた後の貯蓄から1人当たり、847万円の国に対する借金を払えば、後、幾ら残りますか???
いずれ、最後には、全て、国民1人1人に付けが回ってくる。もしそれ相当の貯蓄というものが無ければ、その影響をモロに被らなければならなくなるだろう。ケセラセラ・・なんて気楽なことは言っておれないよね。それぞれが、自分のライフプランを考えて、さ~と言うときの備えだけはておかなければいずれ泣きをみることになるのだろうね~。特に、若い人達は・・。お金を使うなら、自分の能力や技術力アップの為に使うべきだろうね~。かって、経済成長を支えた日本人の低賃金は、グローバル化した現在の国際社会の中では、非常に高いものになっているのだからね~。何かこのようなことばかり書くと、♪何からなにまで 真暗闇よ・・・だね。ちょと鶴田浩二の「傷だらけの人生」の歌を聴いてみたくなったよ。以下で、聞いてみよう・・・と。
YouTube - 傷だらけの人生
http://www.youtube.com/watch?v=7ljM6OA7bfE
(画像は、マイコレクションから野村證券シリアル番号入り百万両貯金箱)
参考はブログの字数制限上別紙となっています。以下をクリックしてください。このページの下に表示されます。
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「所帯平均貯蓄100万円突破と発表」された日:参考

2009-04-16 | 歴史
参考:
 貧困率
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E7%8E%87
一億総中流
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E5%84%84%E7%B7%8F%E4%B8%AD%E6%B5%81
ESRI,視点シリーズ11号-日本の所得格差 -国際比較の視点から-
http://www.esri.go.jp/jp/archive/sei/sei020/sei011.html
経済効率、技術革新と所得分配
http://office.shigehara.online.fr/jp/articles/ronou1.html
総務省・統計局・家計調査
http://www.stat.go.jp/data/kakei/index.htm
独立行政法人 労働政策研究・研修機構/海外労働情報
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2008_11/oecd_02.htm
知るぽると:金融広報中央委員会
http://www.shiruporuto.jp/
「独り言」のコラム
http://www.geocities.jp/yamamrhr/ProIKE0123.html
今週の指標
http://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/index.html
連合総研レポ-ト:視点:日本の所得格差指数、貧困率は何故高いのか
http://www.rengo-soken.or.jp/dio/no197/siten.htm
OECD東京センター
http://www.oecdtokyo.org/outline/archives/archives_2005.htm
ヤクザ映画 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%82%AF%E3%82%B6%E6%98%A0%E7%94%BB
世界の国からこんにちは (AUDIO ONLY)
http://www.youtube.com/watch?v=3fsi6Bxn3mI