服部嵐雪
竹の子や児(ちご)の歯ぐきの美しき
短冊を料紙に
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「俳句の解釈と鑑賞事典」(1979・旺文社)によれば
この句は、「源氏物語」横笛の巻の、まだ幼い薫(かおる・源氏の子ども)が
竹の子を食べる場面
「御歯の生ひ出ずるに食ひあてんとて、たこうな(竹の子)をつと握り持ちて
雫もよよと食ひ濡らし給へば」
によるとあります。(桜井武次郎執筆)
また、「美し」は、古典での一般的意味の「かわいい」ではなくて
「美しい」ととっていいとしています。
いずれにしても、幼い子どものきれいな歯茎と
みずみずしい竹の子が目に浮かび、
心の中まですがすがしくなるような一句です。
作者の服部嵐雪(1654〜1707)は、
芭蕉の弟子です。
料紙は自作した紙をデジタル処理したものです。