菩提薩埵利物為懐
人をみな渡す誓ひの橋柱たてし心はいつか朽ちせん
半紙
【題出典】『倶舎論』二三
【題意】 菩提薩埵は利物を懐と為し
菩薩は他者の救済に思いをかける。
【歌の通釈】
人をすべて救う誓いの橋柱を立てたその心は、いつ朽ちることがあろうか。
【考】
菩薩の行を志す者として、他者を救うために生きることを誓った歌。「橋柱」を中心とした縁語仕立ての歌で、【参考】に挙げた俊成歌に倣った詠み方。
【参考】わたすべき数もかぎらぬ橋柱いかにたてけん誓ひなるらん(長秋詠藻・序品・四〇三)
(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)
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●今日は、この3月に亡くなった義弟・野俣隆の四十九日法要が行われます。義弟は、生前、この「寂然法門百首」シリーズを毎回見てくれて、応援してくれました。改めて感謝するとともに、この救いにあずかることを心より祈ります。