真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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中井養三郎-事業経営概要(竹島領有権問題その7)

2010年01月28日 | 国際・政治
 1904年、中井養三郎が竹島の「貸下願」を出すまでは、日本でも竹島が韓国領であるという認識は常識であったようである。中井養三郎もそう考えて貸下願を出したが、外務省政務局長・山座円次郎(ヤマザエンジロウ)、農商務省水産局長・牧朴真(マキボクシン)、海軍省水路部長・肝付兼行(キモツケケンコウ)などとの話し合いの過程で、日本への領土編入ができるのではないかという考えに変わり、当初とは異なる動きになったようである。中井養三郎は一漁民として貸下願を出したのであるが、日露戦争の最中で、竹島は軍事的にその重要性が高まっていたために、貸下願をきっかけにして関係者が動き、俄に領土編入に至ったということのようである。中井養三郎は、そのことを下記のように正直に書いている。「史的解明 独島(竹島)」愼鏞廈<著>韓誠<訳>(インター出版)からの抜粋である。
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第9章 日本海軍の独島での監視所設置計画と侵奪

3,日本漁民の独島漁業権申請計画と日本政府の計画変更要求 

 日本海軍省が独島に監視所を設置する計画を実行するなか、島根県に居住する中井養三郎という漁民が(リアンクル島)漁業独占願いの要請をした。独島は韓国領土であるけれど、無人島でもあり、この漁業独占願いの要請にかこつけて独島を日本領土に編入し、海軍の監視所も設置しようとする日本の帝国主義的、侵略的な動きが急速に進んだ。


 ・・・

 彼が1910年に島根県に提出するため作成した履歴書と、彼が直接書いた事業経営概要はその時点で、独島は韓国領土であると知っていたことを証明している。また政府高官に取り入って独島を日本領土に編入する画策を行ったということが、次の文からも伺える。
(独島が1905年2月に日帝に奪われ、その5年ほど後に書かれた文であるので、独島の名前は”リアンクル島”ではなく竹島となっている)


 「竹島に海驢(あしか)がたくさん住んでいる事実は鬱陵島近辺の漁民はよく知っていることであるが、……本島(独島─著者)が鬱陵島に属し、韓国領であることを考慮し、将来統監府に行って話し合うこともあるのではないかと思って上京し、いろいろ努力した。そして当時の水産局長・牧朴真氏の助言によって、本島が必ずしも韓国領でないのではないかという疑問が生じた。その調査のためいろいろ動き回った末、当時の水路局長・肝付兼行将軍の判断を求めた。そして本島が全くどこにも属していないという確信を持つようになった。
 そこで事業経営上で必要な要件を全て申し上げ、本島を本邦領土に編入し、そして私に貸していただけるよう、内務、外務、農商部の3大臣にお頼みし、要望書を内務省に提出した。すると
内務当局者は、この時局において(日露戦争中)韓国の領土の疑いがある大海の一滴のような岩礁ひとつのことで、目を光らせている諸外国から日本が韓国に対する領土の野心があると疑われては何の得にもならないので、はなはだ難しい案件だとして却下されるところでした。そこで、ここで引いてはならぬと思って外務省に走り、当時の政務局長・山座円次郎に会い、大いに話し合いました。山座氏は、時局が時局だけに本島の本邦への編入は全く急を用する案件だと答えてくれました。本島に監視所を設置し、無線及び海底電信を通せば、敵艦の動きを監視するのになおさら良いではないか。特に外交上、内務省のように考慮する必要はない。したがって即刻、要望書を本省にまわしておく方がよろしい、と意欲満々でした。
 こういう具合に結局、本島は本邦の領土に編入されたのです。」

<中井養三郎事業経営概要 >中井養三郎 履歴書 附属文書(1910年中井養三郎 作成)《竹島関係資料》第1巻参照



 中井養三郎は1906年3月25日に、独島を日本の領土に編入した後、いかにして自分に貸与されるに至ったかの経緯を奥原福一に述べ、奥原が記録したものがある。これも”中井養三郎はリアンクル島を朝鮮の領土と信じ、日本政府に貸与請願を決意し、明治37年の漁期が終わった後すぐ上京した”と述べており、上京してから海軍省水路局長、外務省政務局長、農商務省水産局長らとの会話のやりとりを比較的詳しく説明している。……(以下略)

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