真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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劣化ウラン弾と台湾有事

2023年01月15日 | 国際・政治

 私は、「在韓米軍 犯罪白書 駐韓米軍犯罪根絶のための運動本部」徐勝+広瀬貴子(青木書店)
の「Ⅲ 死の核兵器 劣化ウラン」に書かれていることも、きわめて重要なことだと思います。

 アメリカが湾岸戦争で大量に使用したという「劣化ウラン弾」は、原発で使用する核燃料の製造過程で生み出された廃棄物の劣化ウランを、金属ウランに加工し砲弾化したものだといいます。だから、装甲貫徹能力に優れ、しかも「ゴミ」の再利用であるため低コストなので、アメリカは、対戦車砲弾のみならず、装甲、巡航ミサイル=トマホークまで、ありとあらゆる兵器に劣化ウランを大量使用しているというのです。
 アメリカはイラクに対して膨大な量の劣化ウランを使用したため、イラク南部の何十万、何百万もの住民が、エアロゾル化した劣化ウランの微粒子、劣化ウランに汚染された食物や水からの被曝の脅威にさらされ続け、癌・白血病、免疫不全、神経系疾患をはじめとした様々な疾病が多発しているといいます。特に子供達の間で、先天的異常という深刻な被害が発生しており、癌に限っても、すでに1万人以上のイラクの人々が劣化ウラン弾が原因で死亡したと推定されるというのです。イラクに対するアメリカとNATOによる戦争は、重大な環境破壊を引き起こし、今なお子供達を殺し続けているというのです。
 
 したがって、冷戦後のアメリカの劣化ウランを使用した戦争を、「もう一つのヒロシマ=新しい型の核戦争」という人もおり、1996年、国連人権小委員会は、”劣化ウラン弾は非人道兵器・大量破壊兵器である”と決議しています。欧州議会も、劣化ウラン弾使用禁止の決議を行っているということです。
 さらに、見逃せないのは、日韓の米軍基地で劣化ウラン弾の事故が起きていますが、アメリカのエネルギー省が、米軍兵器の劣化ウランの利用は、核廃棄物処分方法の一つとみなしているという証言です。 

 ふり返れば、多くの学者や研究者が反対の声をあげていたのに、原爆を脅しではなく実際に投下したのもアメリカです。
 1899年にオランダ・ハーグで開かれた第1回万国平和会議において採択された「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約」の「第二款 戦闘」の「第一章 害敵手段、攻囲、砲撃」に下記のような条文があります。
第22条:交戦者は害敵手段の選択につき、無制限の権利を有するものではない。
第23条:特別の条約により規定された禁止事項のほか、特に禁止するものは以下の通り。
毒、または毒を施した兵器の使用。
敵の国民、または軍に属する者を裏切って殺傷すること。
兵器を捨て、または自衛手段が尽きて降伏を乞う敵兵を殺傷すること。
助命しないことを宣言すること。
不必要な苦痛を与える兵器、投射物、その他の物質を使用すること。

 また、戦争における毒ガスや生物兵器などの使用禁止を定めた「ジュネーヴ議定書(Geneva Protocol)」、正式名称「窒息性ガス、毒性ガスまたはこれらに類するガスおよび細菌学的手段の戦争における使用の禁止に関する議定書」も、1928年に発効しています。

 こうした国際法に照らせば、アメリカの劣化ウラン弾の使用は、国際法に反するものだったと思います。
 さらに、アメリカが日本に投下した原爆、ベトナム戦争で大量にばら撒いた枯葉剤や大量に投下したナパーム弾なども、国際法違反であったと思います。

 そんな国際法違反をくり返しているアメリカが、本格的に台湾有事の画策をはじめていることを見逃してはならないと思います。

 アメリカの下院は10日、中国に対する特別委員会の設置を超党派の賛成多数で可決したといいます。また、アメリカの有力シンクタンクが中国の台湾侵攻を想定した模擬実験(シュミレーション)を重ね、9日に報告書を公開したといいます。朝日新聞の報道によれば、
想定した大半の条件下では、米国や日本の支援を受けた台湾が中国を撃退するが、「高い代償を伴う」と指摘。在日米軍を置く日本を台湾防衛の「要」と位置づけ、外交・軍事上の結びつきを深めるよう提言している。米戦略国際問題研究所(CSIS)が、昨年に進めた24回のシュミレーションをまとめた。想定では、2026年に中国が台湾に侵攻する。中国軍がはじめの数時間で台湾の海軍や空軍の大半を攻撃した後、台湾を包囲し、数万人の兵士が上陸すると仮定した。台湾が持ちこたえ、中国は台湾の侵攻に失敗したという。この防衛の要とされたのが日本だ。報告書は「豪州や韓国など他の同盟国も台湾防衛において一定の役割を果たすが、日本こそが要だ」と強調。・・・”
 ということです。いよいよ日本の戦争が現実のものになりつつあるように思います。

 アメリカは、台湾や日本に対する働き掛けを強化し、着々と準備を整えて、チャンスが到来すれば、ロシアと同じように、中国を孤立させ弱体化させるために、中国を悪者にして、戦端を開こうとしているのだと思います。中国と話しあって平和的に問題を解決しようとはしていないように思います。だからアメリカに追随することは、きわめて危険であると思います。

 12日、林外相が安保理で「法の支配」を訴えたというのですが、岸田政権は、日本国憲法では到底考えられないような敵基地攻撃能力の保有をはじめとする防衛力強化を議論なく進めています。岸田政権の進めている日米同盟の強化や防衛力の強化は、「法の支配」に逆行ることだと思います。
 また、アメリカは、朝鮮戦争をきっかけに、日本に憲法違反の再軍備を求め、さらに、日本国憲法に基づいて、自衛隊が「」、米軍が「」の役割分担をしていたにもかかわらず、その役割分担を反故にして、日韓や近隣諸国を巻き込み、軍事力で中国の影響力拡大を阻止しようとしているように思います。日米ともに、「法の支配」に逆行する動きをしていると思うのです。
 日米の外務・防衛担当閣僚による「日米安全保障協議委員会(2プラス2)」の内容は、実際は「法の支配」ではなく、「力が正義」の好戦的な内容だと思います。
 日本国憲法に対するアメリカの姿勢も一貫しておらず、アメリカの、その時、その時の都合で変わっており、明らかに「法の支配」に逆行していると思います。
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                   Ⅲ 死の核兵器 劣化ウラン

 1991年にクェート、イラク地域でおこった湾岸戦争以後、米国では参戦米軍人のあいだにいわゆる「湾岸戦争症候群(Gulf-war Syndrorm)と呼ばれる症状があった。この原因とされる劣化ウラン弾を駐韓米軍が保有しているという事実が明らかになるなかで、米国政府が事実上核廃棄物である劣化ウラン弾を軍需品として提供してきたという事実は衝撃的である。
 これに関連して、世界エネルギ情報センター(WISE)の96年7月の報告書によれば、事実上米国のエネルギー省は米軍にほとんど無償で劣化ウランを提供しており、結局これは核廃棄物処分方法の一つとみなされていると暴露した。また劣化ウラン弾が核分裂をおこさなくても、発砲されて発火する過程で約70%以上が微細粒子として大気中に露出することが実験で明らかになった。これに関連してイラク北部の医療統計によれば、小児がん患者の急増、奇形児出産、男性の無精子症などの現象が報告された。また米国国防省も公式報告書で、「劣化ウラン弾の使用は主に飲料水を通じて人体に影響を与えうる」と公式認定したのである。
 米軍により核兵器はなんの制裁措置もなく在来式武器に変身して山積みされており、ついに97年2月には漣川郡で米軍の軍政上の錯誤というそれだけの理由で劣化ウラン弾の一つが爆破処理された。つまり、米国の核廃棄物を韓国が代わりに保管していることになる。
 日本では駐日米軍が劣化ウラン弾を前年一年間訓練用に使用してきたという事実が97年2月に明らかになって、劣化ウラン弾撤収運動が市民運動の大きな流れとなった。また米国の市民団体は、5月8日の声明を通じて湾岸戦争症候群の原因である劣化ウラン弾の廃棄を主張し、力強い運動を展開している。
 これらの事件はいくつかの疑問を提起した。そのなかの一つは、軍事組織内で行政上の錯誤によって劣化ウラン弾は爆破されるものなのかということである。97年3月8日、ジム・コルスン報道官は公式文書を通じて、朝鮮半島で劣化ウラン弾を保有しているが訓練や管理上の問題で爆破されるなり使用されたことはないと言明した。ところが同年2月初めに行政上の錯誤で劣化ウラン弾が爆破処理されたと、5月16日に、ジム・コルスンが発表したのである。これをどう理解すべきであろうか。
 これまで駐韓米軍によるいくつかの事故において、米軍自ら事故に対する原因と結果を明らかにしたことはない。結局、米軍が、いや米国政府が日本と自国でおきている劣化ウラン弾反対デモをなだめるための計画的な事故である可能性が高いと思われる。これは日本と米国の市民団体の劣化ウラン弾被害への憂慮に対して説得力を得るために、「韓国で劣化ウラン弾が破裂した。しかし調査の結果、
人体には無害であり放射能汚染はなかった」という内容を公表するためのものと理解される。こうしたことをおこなうのに韓国くらい楽な国はない。これを証明するように5月22日、韓国の国防部は「砲弾処理地域の調査の結果、人体には無害であり放射能汚染はなかった」と発表した。
 8月に入ってベーコン報道官は「駐日米軍は劣化ウラン弾を沖縄近隣の鳥島に誤って発射した事件が公表された96年2月以後、沖縄米軍基地に貯蔵されていた劣化ウラン弾を潜在的に戦場に近い韓国に移送した」と発表した。(「毎日新聞」1997年8月15日)。駐韓米軍はこれについて「いかなる劣化ウラン弾も韓国に移し、配置したことはない」と語った。「運動本部」はこの報道に関連して緑色連合、環境運動連合、経済正義実現市民連合など市民・環境団体とともに韓国政府と駐日米軍の責任ある解明と同時に劣化ウラン弾の撤収をうながす声明書を発表した。しかし政府と米国当局からはなんの答弁もなかった。

 劣化ウラン弾問題の解決
 劣化ウラン弾問題の解決は困難だがとても簡単である。
 第一に、劣化ウラン弾は核廃棄物であるため、韓国からすべて撤収されなければならず、核廃棄物に対する一般的処理過程と同じく核廃棄物場に埋め立てられなければならない。
 第二に、このような朝鮮半島の生存に脅威的な状況が再発しないようにするには、韓国と米国との関係を互恵平等の原則にしたがって平等にしなければならない。韓国は主権国家であり米国の従属国ではないのであるから、韓米行政協定を全面改正して韓国政府が米軍の駐屯による公共秩序破壊(環境破壊、犯罪等)と地域の平和を脅かす軍事行為を統制すべきである。
 第三に韓国を中心に東アジア地域の各国が非核地帯化宣言をすべきである。これは地域の軍備競争を中断させ平和と和解への道を準備する一歩である。


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