ゆいツールブログ:NPO法人ゆいツール開発工房(ラボ)

人と人、人と自然、人と環境などを「結う(ゆう)」ということに関して、団体の活動やスタッフの思いなどを紹介していきます!

ロンボクで卒業研究!? in Lombok

2016年12月06日 | ★2016年度(ロンボク)

ロンボクで、ごみ銀行の調査をした学生さんより寄稿してもらいました。

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9、10月と2か月間、私は、卒業研究としてロンボク島で調査を行いました。

下は、中部ロンボクの最終処分場(埋め立て地)での調査の様子です。なぜか大笑いしていますが、理由は忘れました。

調査内容は、『ゴミ銀行とは何か』です。一見とてもシンプルなようですが、実はとても奥深い問いです。

一般的なゴミ銀行の解釈は…

① 住民からゴミを回収する

② ゴミを分別する

③ リサイクル業者へ売る

※ゴミの一部は、リサイクル製品(バッグやポーチなど)に加工し、売却。

④ 売上の一部を住民に還元する

というものです。要するに、住民参加型のゴミ回収マネジメントを行う組織をゴミ銀行と呼んでいます。

 

話はそれますが、私がはじめてロンボク島を訪れたのは、今年の1月でした。このときは、ゆいツールさんのエコツアーに参加し、ゴミ銀行をいくつか見学しました。ネットで少し調べていたので、ある程度活動の主旨はつかんでいたものの、実際にはその活動内容が多様であることを当時初めて知り、衝撃をうけました。いや、正直混乱しました。

『この人たちは、何をゴミ銀行と呼んでいるのだろう…』

そこで私は、今回の調査に踏み切ったというわけです。結論としては、各ゴミ銀行の違いは地域が抱えるゴミ問題の違いに決定づけられていると考えられます。私は、この違いを明らかにするため、①都市部、②都市近郊農村、③農村部で調査を行いました。

①マタラム市内(都市部)

マタラム市内では、すでに行政による回収システムがあります。

公共のゴミ捨て場があったり、

(行政によって設置された公共のゴミ捨て場)

大通りの清掃をしている行政スタッフもいます。

(大通りを清掃し、ゴミ捨て場まで持ってくるスタッフ)

これらのゴミは、行政のトラックによって最終処分場まで運ばれます。(ただし、運びきれないごみは置き去りです)

(行政のトラックが、ゴミをゴミ捨て場まで運んでいる写真)

しかし、このシステムは完全には機能してはいません。下の写真のように不法投棄があとをたたないのです。

(罰金などの規定を表示しているにも関わらず、不法投棄があとをたたない)

このような現状のなかで、ゴミ銀行はエコビジネスの視点から住民の環境教育を行っています。下の写真のような製品をゴミからつくることで『ゴミにも価値がある』という気づきが得られます。この気づきが住民の環境意識を向上させていると考えられます。

② 西ロンボク県(都市近郊農村)

西ロンボク県では、二つの村を調査しました。ここでは、まだ行政による回収システムは提供されていません。したがって、住民は仕方なく私有地や川への投棄を続けています。

(私有地なのにこのゴミ山)

 

(川への投棄も悲惨)

これだけゴミが自分の土地に捨てられているので、土地の所有者と捨てていく住民とのトラブルは頻繁なようです。

このような現状下で、ゴミ銀行は行政の代わりにゴミ回収システムを独自につくっていました。 

(ゴミ銀行による回収活動の様子)

また、ゴミ銀行による回収活動が評価され、村役場が回収するようになった地域もあります。

このように、①でみたような都市部ではなかった新たなシステムの構築という課題をゴミ銀行が担っていることがわかりました。

③ 中部ロンボク県(農村部)

中部ロンボク県では、三つの村を調査しました。ここでは、西ロンボク県と同じく行政の回収システムはありません。(一部街の中心部のみある)

したがって、②と同様私有地や川への投棄を余儀なくされています。 

(私有地に捨てられるゴミ山)

しかし、②西ロンボク県と決定的に違うのは、『空き地』が多いということです。今回調査した村は、西ロンボクの村よりも田舎に位置したため、人口密度が低く、まだ使われていない土地が多くありました。そのため、西ロンボクよりも『どうぞ私の土地に捨ててください』というある意味寛容な人が多く、住民間のトラブルはあまり大きくありませんでした。 

(子供たちが自由に遊べる空き地が多い)

このような状況下では、住民自身がゴミを『問題』として捉えてきれていないため、問題意識の向上が必要になります。

したがって、①都市部や②都市近郊農村よりも、環境教育に力点を置いたゴミ銀行が見受けられました。 

(住民にゴミ銀行の意義や目的を説明して回るゴミ銀行スタッフ)

とはいえ、そもそも『問題』として捉える住民が少ないのでゴミ銀行自体が少ないのが現状。今後の発展が期待されます。

 

以上で見たように、一口にゴミ銀行といっても形態は多様です。『ゴミ銀行とは何か』という問いには明快な答えがないように思います。強いてあげるならば、地域にあわせて柔軟に形を変えるゴミマネジメントシステム、ということになるでしょうか。各地域のゴミ銀行を地域レベルで解決できる可能性を秘めたゴミ銀行。今後の発展に期待です!

調査にご協力くださった方々、ありがとうございました。

(み)

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