11月16日に、インドネシア・ロンボク島のマングローブ植林地バゲッ・クンバールで「観光地の課題解決のためのワークショップ」と「インタープリテーションガイド研修」を実施しました。
今回は、ワークショップについて報告します。
予定では「インタープリテーションガイド研修」を先に実施するはずでしたが、朝から雨でスケジュールを変更してワークショップを先に実施することにしました。
Pada bulan 11, Workshop mengenai cari solusi untuk pariwisata, lokasi Bagek Kembar Lombok barat, NTB.
(ワークショップの様子)
この日、いくつかマイナスな面がありました。
●前半、天気が悪かったこと。そのため、椅子を並べたりプロジェクターを借りに行ったりする準備が遅れました。
●MC役のボランティアが体調不良で参加できなかったこと。
●ワークショップとインタープリテーションガイド研修を入れ替えたため、ワークショップに招待していたマタラム大学の先生数人が参加できなかったこと。
●今回の研修は、開催地バゲッ・クンバールの観光チームとギリ・ランプの住民グループを対象に実施したのですが、ギリ・ランプから当初4-5人参加する枠を設けたのに、実際に参加したのはふたりだけだったこと。
でも、よかったこともありました。それは、新しいボランティアが増えた、ということ。
マタラム大学に通うニタです。
(ボランティアのコマンと打ち合わせをする、新ボランティアのニタ)
さて、ワークショップはマデのMCで始まりました。
(急きょ、MCを担当することになったマデ)
そして、バゲッ・クンバールの観光チームのリーダー/アグスさんがあいさつをしました。
(後ろには、先日ゆいツールが設置した看板が見えています)
参加者は、バゲッ・クンバールの観光チームに関わっている仲間を中心とした人たち(17名)と、ギリ・ランプの住民グループメンバーのふたりでした。
今回のワークショップでは、議論するテーマをあらかじめ用意しました。
「A. ごみの問題解決について」「B. 施設やルール、観光管理について」「C. 地域オリジナルの料理・お土産開発について」
参加者約20人が3つのグループに分かれて、それぞれのテーマについて話し合いました。
(A. コマンのチーム。ごみ問題を話しました)
(ディスカッションをサポートするニタ。右の男性はギリ・ランプからの参加者)
(B. マデのチーム。観光管理について話しました)
(C. オパンのチーム。料理・お土産の開発について話しました)
(各グループを回るゆいツール山本)
各グループには、共通のワークシートを用意しました。
質問項目は「解決したい課題は何か?」「解決策は何か?」「課題解決のために自分たちができることは何か?」
ディスカッション後、各グループで話し合った成果を共有し、意見交換をしました。
Aグループの発表です。
「解決したい課題は何か?」⇒訪問者の意識の低さとごみ箱が少ないこと
「解決策は何か?」⇒ごみのポイ捨てをしないようにするため、訪問者への警告をする
「課題解決のために自分たちができることは何か?」⇒オーガニックごみとノンオーガニックごみのごみ箱を設置する。プラスチックごみをアップサイクルする。(コーヒーの空き袋などでポーチなどを作る)。子供や妻にポイ捨てしないように教える。オーガニックごみを捨てる穴を掘る。
Bグループの発表です。
「解決したい課題は何か?」⇒トイレの整備(水道が整っていない)。お祈りルームの設置(きれいな水を確保できないため、整備できていない)。壊れてしまったトレイルの修理(資金がない)。チケット売り場の設置。観光のための乗り物(ボートなど)。
「解決策は何か?」⇒水道の設置(きれいな水の確保)。お祈りルーム設置のための行政からの支援。トレイル修理のための資材の提供(行政による)。チケット売り場運営のための資金。ボート。
「課題解決のために自分たちができることは何か?」⇒関係者に連絡してきれいな水を購入する。現在ある東屋をお祈りルームとして整備する。トレイル修理のため、村の予算を活用する、あるいは住民同士で協力して直す。チケット販売のため、観光チームのボランティアが必要。ボートは、住民が所有しているものを活用する。上記の解決策のために企画書を作成する。
Cグループの発表です。
Cグループは、地元ならではの料理を提供するレストランについて、細かな点を話し合いました。
(細かすぎたため、省略します)
ただ、伝統的な塩をお土産として売ったら購入するよ、と話を振ると俄然やる気になって大きさやパッケージについて案を出し始めました。
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さて、考察です。
このワークショップは、2年前に実施した持続可能な観光について考えるワークショップ(バゲッ・クンバール、ギリ・ランプ、南レンバール村)の発展型になります。
3年間の活動を締めくくるワークショップでもありました。
目的は、各観光地にある課題を認識して、それらを解決するために自ら何をしなければいけないか考え、ワークショップ後に行動に移せるようにする、ということでした。
実は、このワークショップでディスカッションを助けてもらう目的で、マタラム大学の先生の他にもキーマンとなる人を招待していました。
しかし、その人は都合により来られなくなり、結局ワークショップはゆいツール山本とボランティアたちで行うことになりました。
そのため、もう少し深く議論ができればよかったな、と思っています。
ただ、アカデミックな人が(自覚はなかったとしても)上から目線でコメントすることで、参加者が萎縮してしまうこともあるので、今回はこれでこれでよかったのかもしれない、とも思います。
今回、グループワークの発表では、慣れていない人をわざと選びました。
いつも、話慣れている人が選ばれるのが常ですが、グループの後ろの方で話を半分くらいしか聞いていないように見えた参加者に発表を促すと、彼らは最初うつむいてやりたがりませんでしたが、説得するとやってくれることになりました。
いざ自分が発表するとなると、人が書いたワークシートは読めない、と言って書き直したり、仲間に助けてもらいながら発表の練習をしたり、急に自分ごとになりました。
もし、ボランティアだけで研修を実施したら、そういうことはしなかったでしょう。
この後、参加者が自分たちが話し合ったことを実現していけるかどうか、見守っていく必要があります。
午後は、「インタープリテーションガイド研修」を実施しました。(つづく)
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