![]() | 変革は、弱いところ、小さいところ、遠いところから清水 義晴,小山 直太郎次郎社このアイテムの詳細を見る |
著者は、「まちづくり」のコーディネーターである清水義晴さん。
本書は、清水さんが関わった「まちづくり」の事例や、清水さん自身の人生の一端が紹介されている。清水さんに影響を与えた人々も登場する。
「まちづくり」の紹介事例は、どれも、とても興味深い。
各事例に取り組んだ関係者、キーパーソンの人柄はユニークで、彼らの熱い思いには刺激を受ける。
ただし、本書は、少々ごった煮の印象があり、「まちづくり」の各事例も概要を紹介するだけで終わってしまっているのが残念だ。各事例について、もっと深く知りたいと思った。
「まちづくり」とは縁がない人でも、本書を読むと、自分の生き方や価値観と照らし合わせて考えさせられる点がでてくるだろう。
ポイントは、『「競争することを選ばない」という価値観をどう考えるか?』である。
清水さんは、次のように書いている。
商売というのは放っておくと、自然と競争に巻き込まれてしまいます。この競争には終わりがありません。たとえ一度は「勝った」としても、勝ち続けるためには、企業も人も気が遠くなるほどのエネルギーを必要とします。しかし、いったい私たちは、なんのために勝ちつづけなければいけないのでしょう。勝つことの目的とは、なんなのでしょうか。一度このことを、立ち止まって考えてみることも必要ではないかと思います。
清水さんは、金銭至上主義とは異なる価値観を示し、その「豊かさ」を伝えようとしている。もうひとつの価値観は、清水さんが、社会が切り離そうとしてきた人たち(例えば、精神障害者)から学んだものだ。
「弱いところ」「小さいところ」「遠いところ」は、「競争」においてはマイナス要素だが、もうひとつの価値観から見ると「豊か」に生きるための要素になる。