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疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫) |
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愛情は「試す」ものではありません。
「育てる」ものです。
愛情をずいぶん乱暴に使う人がいます。
相手が自分のことをどれほど愛しているのかを知ろうとして、
愛情を「試す」人がいます。
無理難題をふきかけたり、
傷つけたり、
裏切ったり、
さまざまな「試練」を愛情に与えて、それを生き延びたら、
それが「ほんとうの愛情だ」、というようなことを考える。
でも、これは間違っています。
愛情を最大化するには、愛情にも「命」があることを知る必要があります。
人間は、強いけれど、弱い。
がんばれるけど、がんばれば、その分疲れる。
無理して先払いしたエネルギーは、必ず後で帳尻を合わせるために回収される。
「一ランク上の自分」に取り憑かれた人は、
身体や精神が悲鳴をあげるまで痛んでも、なかなか休みません。
疲れて立ちどまると、そういう自分を責めます。
向上心は、確かにあるほうがいい。
でも、あり過ぎてはいけない。
自分の可能性を最大化するためには、
自分の可能性には限界があるということを知って
自分の可能性を「たいせつにする」ことが必要です。
ぼくたちの可能性を殺すものがいるとすれば、
それは他の誰でもありません。
その可能性にあまりにも多くの期待を寄せる
ぼくたち自身なのです。
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内田樹さんの「疲れ過ぎて眠れぬ夜のために」という本の中にあった、
「ワンランク下の自分に」というテーマで書かれたものです。(一部改変)
「ワンランク下」ではなく、「ワンランク上」を目指すことを促される
ような世の中ですが、
頑張ることは、良いこと。
でも、頑張りすぎないことも大切。
私自身、
自分の生活を振り返って、
時々、こう言い聞かせるようにしています。
「ほどほど」という言葉がありますが、
これが、なかなか難しいですね。
愛情も、
可能性も、
「育てる」という気持ちが、
鍵なのかもしれません。