Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

孤独の影

2013-12-15 01:00:00 | 雪3年2部(雪淳喧嘩~亮の涙)


静かだった。

暗くなった夏の夜道を、雪はヒタヒタと一人で歩いている。

こっ‥怖い‥



付近で変態事件や暴行事件が起こってからというもの、周辺は輪をかけて静まっている。

夏だというのに窓を開けている家も無く、明かりさえあまり目につかない。



雪はふと、靴紐が解けているのに気がついた。

まだ家まで遠いのに‥と一人思いながら、しゃがみ込んで紐を結ぶ。



すると雪の足元に、硬貨がコロコロと転がってきた。

雪がその動線を目で追っていると、何の気配もなく目の前に人が現れた。

「ああ、こんにちは。うちのアパートの入居者さんですよね?」



男は転がった小銭を拾いながら、大家の孫ですと雪に言った。軽い調子で世間話をする。

「この辺真っ暗ですよねぇ。ハハ」



雪は心臓が止まるかと思った。あまりにも突然現れたこの男に、言い知れぬ不気味さを感じる。

身を凍らせたまま立ち上がった雪に、大家の孫は「窓の具合はどうです?」と声を掛ける。



「お陰様で」「それはよかった」と紋切り型の返答が続き、

また何かあったら言って下さい、という男の言葉に雪は頭を下げ、その場を後にしようとした。

しかし男はその後姿に声を掛ける。

「送りましょうか?最近物騒ですし」



男の提案に、雪は大丈夫ですと笑顔を浮かべて答え、男はそうですかと返答した。

別れの挨拶を交わした後、二人は背を向け合って別々の方向を歩き出した。

雪の心臓は早鐘のように鳴っている。

あービックリした‥超ビビった‥。早く帰りたい‥この街危なすぎる



すると後方から、男が何か歌っているのが耳に入ってきた。

「♪トゥトゥルトゥトゥトゥトゥトゥ、ラビンユベイベ~♪」



雪の背筋が、ヒヤリと凍った。

その歌はいつか雪が、一人この道を歩いていた時に歌っていたものだ。

この夜道の恐怖を紛らわすために‥。



身体中から冷や汗が噴き出すようだった。

雪はギクシャクと手足を動かしながら、必死に前へ前へと歩を進める。

い、いや有名な歌だし!過剰反応過剰反応‥



そんな雪の後ろで、男は笑っていた。

肩を揺らし、嬉しそうに‥。




雪は歩いても歩いても、何かがついてくる気がして怖かった。

それは暗い自分の影、いや誰もいない空間に伸びる、孤独の影‥。



暗く狭い道、明かりは無い、誰もいない。

自分の吐く息の音しか聞こえない。



急いで帰路に着く雪の姿を、一人の男が目にして声を掛けた。

「おい!」



身を縮こまらせながら、つと立ち止まる。

コツコツと近づいてくる足音に、恐怖心のメーターが振り切れた。

「きゃぁあああ!」 「ダメージヘアー!」



叫び走り出す雪の背中に、聞き慣れた声がした。

「お前何してんの?」



振り返って目に入ったのは、不思議そうな顔をした河村亮だった。

亮は呆れたような口調で、渋り渋り雪に近付く。

「何叫んでんだっつの。またオレが変な誤解を受けたらどーしてくれんだよ」



先日刑事からあらぬ疑いを掛けられたことを根に持っていた亮は、

そのことを苦い顔をして雪の前で愚痴った。

しかし雪はそんな彼の言葉は耳に入らない。縮こまっていた心が、徐々に解き解れていく。



雪は無意識の内に、彼に向かって手を伸ばしていた。

その服の端を、思わず掴んでいた。

「か‥河村氏‥」



亮は目を見開いた。

気がつけば彼女のほっとしたような笑顔が、目の前にあった。



二人は暫し互いに顔を見合わせて佇んでいたが、その雰囲気を壊したのは亮だった。

「お前変なもん拾い食いでもしたか?!何しやがんでぇ!」



亮は彼女の手をバシンと払うと、雪も一瞬にして正気に戻った。

ホッとしてつい‥とアワアワしながら亮に謝り、弁解した。

「さっきあっちで男の人が‥」 「何?!何かされたのか?!」



雪の話に亮は身を乗り出したが、続けられた説明はどうにも納得出来ないものだった‥。

「いえ、ただ挨拶されただけで‥。その人が歌ってて、前に私が歌っていたやつをここで‥。

♪トゥトゥルトゥトゥトゥトゥトゥ、キッシンユベイベ~♪‥」


  

説明すればするほど、亮の顔色は曇っていく‥。

雪はただ一人で歌っていた変な女だと思われ、その話は終わった。


「そ、それでここで何してたんですか?」



雪の質問に、亮は「ああ、まぁ何かあったらいけねぇと思ってな」とここに居る理由を話し始めた。

事件が起きたというのに犯人も捕まっていないし、自分もこの近所に住んでいるから落ち着かないのだと。

そして「道端で歌ってる変な奴とかいないか見に来たんだ」と冗談を言って、雪を慌てさせた。



そんな雪に、亮は少し皮肉を含んでもいる疑問をぶつけた。

「てかお前何で一人なわけ?彼氏だか何だかは送ってもくれねー‥」



亮がそこまで口にした時、雪は視線を泳がせて俯いた。

何かを抱えた彼女が、言い出せずに口を噤む。



亮はそんな彼女を見て、言葉にならない空気を察してそれ以上は言及しなかった。

雪の顔を指さして、話題を変える。

「何だよその怪我は?」



雪は「不注意で‥」と答えた後、「何で?」と亮に突っ込まれ、

「ボランティアで‥」と詳細を答えた。

「え?そんなんもやってんのか?すげーじゃん!」



亮の素直な反応に雪は少し照れたが、その後すぐ「オレにも奉仕しろ」と言う亮に、

「何でですかと雪は呆れた‥。








彼女の前で静かに笑う亮は、どこかいつもと違うように雪には思えた。

「河村氏も浮かない顔してますけど‥」と声を掛けてみる。



亮は青筋を浮かべながら、このイケメンのどこを見てやがると反発する。

しかしやはりどこかいつもと違う。

「具合でも悪いんですか?」 「いや?オレは生まれついての超健康体だから」



雪の質問が核心に触れる。

「じゃあ何で今日塾に来なかったんですか?」



塾に来なかった理由‥。

「‥‥‥‥」



今亮の心を悩ましているその理由が、再び彼の感情を揺さぶった。

畜生、と言いながら頭をグシャグシャ掻く亮に、雪は少し身を固くした。



そして亮は口に出した。

その災いの元凶を、たった一人の肉親の名を。

「静香‥。あのバカ女がお前の半分の半分でもまともだったら‥」



結ばれた口元に、口惜しさが滲む。

歯噛みした唇に、悔しさがつのる‥。



亮の脳裏に、河村静香と口論になった昼間の記憶が蘇った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<孤独の影>でした。

雪ちゃん大胆~^^!



しかしこのあと普通のラブコメならハグに繋がるはずが‥コレ‥。



本当掴めない漫画ですね‥。

しかし上の亮の台詞、直訳すると「月夜に薬を大いに食ったか!」になるのですが、

これは韓国の慣用句か何かなのでしょうか?

どなたか~!ヘルプです~!



次回は<河村家の問題>です。

人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています~!