夢七雑録

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井の頭深大寺コースを歩く

2014-03-08 09:05:13 | 歴史と文化の道
 東京都の歴史と文化の散歩道のうち「井の頭深大寺杉並コース」は、「成蹊けやき並木散歩(井の頭恩賜公園~三鷹駅)」、「三鷹連雀散歩(三鷹駅~野崎八幡)」、「武蔵野おもかげ散歩(野崎八幡~調布駅)」の3区間のサブコース(ガイド区分)から成り、総延長は12.3kmになる。

(1) 成蹊けやき並木散歩

 はじめに、“かいぼり”が行われた時の井の頭池の写真を載せておく。“かいぼり”は、池の水を抜いて、池底を天日に干して水質を浄化する事と、外来種を駆除し在来種を保護する事が目的だという。池の底が露出した井の頭池や、家康が茶を点てたという井戸に水が無い風景は今しか見られない。天日干しのあと水を入れても、大半の水は池底から漏れてしまうそうなので、多少の時間はかかるだろうが、それでも、花見の頃までには元の水位に戻るだろう。この池が、小魚の泳ぐ姿が見える池として蘇った暁には、もう、自転車なんぞを放り込む輩は現れないだろう、多分。それと、井の頭池での“かいぼり”の結果が良ければ、他の池でも“かいぼり”の機運が高まるかも知れない。

 コースの起点となる井の頭自然文化園は、動植物と彫刻の取り合わせが面白く、長崎の平和祈念像の原型など見るべきものもあるのだが、今回はパス。出発の前に道路側に置かれている案内板を確認するが、汚損がひどく読めない。読めない案内板は無視して、武蔵野吉祥七福神のルートに従い吉祥寺通りを北に、それから、五日市街道に出て左折する。車の流れの横を歩くのは楽しくないが、致し方ない。

 歩けば、そのうち目印の歩道橋が見えて来る。ここを右に入り、けやき並木の道を歩く。正門を左に、その先を右に曲がり、けやき並木の道を直進する。突き当りを左に行き、陸上競技場のところを左に曲がる。左側の歩道で浄水場を右手に南に向かい、信号を渡って先に進むと、左側に図書館がある。

 図書館の横の通りは、文化会館通りという通称を持っているが、今では、景観に配慮した道になったことを機に、“かたらいの道”という名称が与えられている。コンサートの感想などを語らいながら歩く道という訳だが、そのコンサートが開催される市民文化会館は、五日市街道を渡ったところにあり、その前には案内板も置かれている。かたらいの道を先に進んで井の頭通りを渡り、左側のグラウンドを過ぎる。その先の角を右に、武蔵野警察署の方に進み、三鷹駅北口に出る道路を左側に見送って、三鷹通りを左に折れる。けやき橋の交差点を渡り、玉川上水を渡り、JRのガードを潜り終えれば、この区間は終わり。左に行けば三鷹駅に出る。

(2) 三鷹連雀散歩

 JRのガードをくぐった先を南に向かう。明暦の大火のあと、神田連雀町の住人が移住して開拓したという下連雀と、後に開発された上連雀の間の三鷹通りを、ただひたすら歩く。やがて、左側に八幡大神社が見えてくる。この地の開拓を始めた時、まだ、神社や寺がなかったため、住民が願い出て創建したのが八幡大神社と禅林寺だという。禅林寺は神社の隣にあるが、墓マイラーではないので省略して先に進む。

 八幡大神社の前の案内板を確認し、連雀通りを渡る。ひたすら南に向かって歩けば、やがて三鷹市役所前の交差点に出る。ここを右折。左側の歩道で人見街道を西に向かう。人見街道は、武蔵国府であった府中と大宮八幡を結ぶ道で、古代の道筋とする説もある。この道を進んで行くと野崎の交差点に出る。ここで人見街道は、拡幅工事中の武蔵境通りと交差する。交差点の南西の角にある標識Bを確認し、右側の歩道で南に進むと東八道路に出る。左側に野崎八幡が見えたところで、三鷹連雀散歩はこれにて終了となる。なお、武蔵境通りの前身というべき道は、調布から野崎経由で田無に至る深大寺参詣道に相当し、中世の軍道とも言われる古道であったが、境浄水場の開設により分断された結果、今の武蔵境通り(調布田無線)は武蔵境の北で、境浄水場の西側を通るルートにより田無に向かっている。

(3)武蔵野おもかげ散歩

 東八道路を渡り、武蔵境通りを右側の歩道で南に向かうが、途中で左側の歩道に移る。野崎の交差点から左側の歩道を歩く方が正解だったかも知れない。ところで、武蔵野吉祥七福神で歩いた伏見通りと武蔵境通りは、現在接続されていて、都市計画道路・調布保谷線として通行出来るようになっており、そのうち、東八道路から先、中央自動車道までの区間は、ほぼ完成している模様である。調布保谷線は片道二車線、歩道は広く自転車とも分離されているので、歩きやすい道になっている。

 神代植物公園の信号まで行き、正門から神代植物公園に入ってみたい気もないではないが、今回はルート通りに、その手前の神代植物公園北の信号で左に折れ、神代植物公園通りを東に進む。左側に絶滅危惧植物保護の拠点として開設された植物多様性センターがあり、入園無料なので西門から入って植物の屋外展示を見てまわり、正門から外に出る。標識Bを確認し芝生の広場を歩いて、総合体育館前の信号で右に入る。植物公園の間を抜ける道を南に向かい、神代小橋という名の橋をくぐると、ほどなく神代植物公園の深大寺門の近くに出る。

 今回は神代植物公園は割愛して、北門から深大寺の中に入り、元三大師堂を経て本堂に出る。深大寺は天平5年創建と伝えられる古刹で、江戸時代には元三大師の縁日に近郷近在から参詣客が集まった寺でもある。深大寺の名物は蕎麦で、深大寺領に産する蕎麦を深大寺蕎麦と称していたが、「江戸名所図会」によると、佳品といえるのは寺の裏門近くの畑でとれた蕎麦だけだったという。江戸から明治にかけて深大寺の門前には十軒ほどの店があり、そのうちの一軒では蕎麦を出していたそうだが、大正時代に田山花袋が訪れた時には深大寺も荒廃して食事が出来るような店も無かったという。深大寺に参詣客が戻ってくるのは戦後暫くしてからで、蕎麦の店が増え始めるのは神代植物公園が開園した昭和30年代の後半以降の事である。現在は、深大寺一帯が鬼太郎の助けも借りて半ば観光地化している。

 山門を出て案内板を確認し、門前を南に向かい、バス停から右に折れて、深大寺の信号を渡る。坂を上がって修道院を過ぎると、池上院沿いの下り坂となる。「江戸名所図会」に深大寺蕎麦についての挿絵があるが、描かれている人物は住職と客人の様であり、その場所も門前の茶店ではなく、丘の上の懸崖造りの建物である。その位置だが、描かれている川を野川とし、遠くに見える家並みを甲州街道と考えると、池上院近くの丘の上のように思える。

 坂を下って標識Cにより右折し、次の角を標識Bにより左折。中央自動車道をくぐり野川を渡る。次の交差点を渡り、左側の歩道で先に進むと、小公園の先から道は右に曲がっていく。次の交差点を渡り、標識Cにより左折。右側の歩道を進み、スーパーを過ぎて、次の信号で右に入ると布多天神の横に出る。参拝ののち、南側の鳥居から外に出て、大正寺を左に先に進む。甲州街道を渡り、天神通りを抜けると旧甲州街道に出る。ここを右に行き交差点を渡って左に行けば調布駅に出る。調布駅の地下化に伴う駅前再開発が、目下進行中である。


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