夢七雑録

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13.田島橋から面影橋

2009-11-17 22:19:51 | 神田川と支流
(103)田島橋
 旧神田上水は、「田島橋」の手前で北に向かったあと、急角度で南に転じ、東に折れていた。この折れた部分に架かっていたのが「田島橋」である。橋の名の由来だが、北側の台地に安藤但馬守の屋敷があって、大久保方面に行く時は、この橋を通っていたからという。ところで、「田島橋」近くの田圃は、江戸時代、蛍の名所として知られた所だったらしい。今でも、近くの「おとめ山公園」では蛍を飼育しているということだが、夜まで待てないので、立ち寄るのは止めにした。

(104)清水川橋

 昭和初期の河川改修以降の橋で、その名は地名(字)に由来する。橋から下流を眺めると、JRと西武新宿線の下で、神田川が川幅を狭めているのが見える。この附近は、しばしば水害に悩まされたが、その原因とされた場所でもある。「清水川橋」から先、川沿いに行けないので、一旦、高田馬場駅に出ることにした。ここで、余談を一つ。田島橋と面影橋の間、川が北から南に折れ曲がる場所に、一枚岩の景勝地があったという話がある。位置的には、清水川橋の北側から、高戸橋の辺りの間が該当するが、今は、その景勝も失われている。現在でも、神田川の川底に露岩が見られる場所はあるが、神田川の流路にしろ、水位にしろ、当時とは異なっているので、同じものを、江戸の人達が見ていたわけではない。

(105)神高橋
 高田馬場駅から下っていくと「神高橋」に出る。最初の架橋は大正時代で、橋の名は神田川と高田から付けたという。十数年前に来た時は、橋を一本増設しただけの間に合わせのような橋だったが、今回来てみると、立派な橋に生まれ変わっている。上流側の歩道を歩くと、線路下の狭隘部分を神田川が流れ落ちる様子が見て取れる。豪雨の時には激流逆巻く景観が見られるのかも知れない。ところで、この橋は新宿区と豊島区の境界になっているが、ここから「豊橋」までの区界は入り組んでいる。旧神田上水の跡を境界として残さざるを得ない事情があったのだろう。「神高橋」から「戸田平橋」まで、区境は南側にふくらんでいるが、その経路が旧神田上水の水路跡というわけだ。

(106)高塚橋
 「神高橋」から左岸を歩くと、新装なった「高塚橋」に出る。橋の名は、戸塚と高田から名付けられたという。この辺りでは、比較的新しい橋のようだ。川面を見ると、少々汚れているように見える。悪臭がするわけではないのだが、下りてみようとは思わない。

(107)戸田平橋
 川沿いに歩くと、新しくなった「戸田平橋」に出る。ここに橋が架けられのは、大正時代で、その名は、戸塚と高田、それに架橋に尽力した平野氏の名に由来するという。近くに橋の記念碑があるが、読む気はないので、一瞥して立ち去る。

(108)源水橋
 前に来た時は川沿いの道が無く、川から離れた分かりにくい道を歩くはめになったが、今回は、川沿いの道を「源水橋」まですんなり行くことができた。途中、戸山公園を水源とする秣川という支流が暗渠となって流れこんでいるが、妙な名の由来は、明治の初め、源流部に競馬場があったからだろう。「源水橋」は大正時代の架橋といい、橋の名は源兵衛村の水車が近くにあったからという。今は、橋も新しくなって、欄干には水車の絵が嵌め込まれている。

(109)高田橋
 次の橋は「高田橋」。新目白通りが神田川を斜めに越している。この橋の下流で暗渠の中からようやく「高田馬場分水路」と妙正寺川が現れ、神田川に合流している。橋は新目白通りが開通した時に架けられたのだろうが、それ以前にも、近くに橋があったらしい。

(110)高戸橋

 「高田橋」と交差するように、次の「高戸橋」があり、明治通りが神田川を越えている。「高戸橋」は、昭和の初期、明治通りが開設された時に架設されたようで、その名は高田と戸塚から付けたという。橋から上流を眺めると、少々汚れているように見えるのが、残念な気もする。下流側は橋の向こうに桜が少し見える。その桜を隠すように都電が通り過ぎて行く。

(111)曙橋

 明治通りを渡り、都電の踏切を通ってすぐに左へ、細い道を歩いて行くと、川沿いの遊歩道に出る。この辺りから、江戸川橋までは、両岸に桜が植えられている。付近には、公園や史跡もあって、神田川の流域の中でも景観が良い地域だが、特に花見時が素晴らしい。次の橋は大正時代に架けられた「曙橋」。橋は平凡だが、魚道を下ってくる水の流れは美しい。川を横目に遊歩道を歩いて行くと「面影橋」に出る。ここで、橋を渡る積りだったが、急きょ、予定を変更して甘泉園に行く。甘泉園は、清水家下屋敷跡で、回遊式庭園になっている。無料だが、それほど広くはなさそうだ。結局、当方は中には入らず、入口の小公園で待つことにした。今日は、ここらで終わりになるのでは、ないかな、多分。


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