猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

プライスさん、ありがとう!

2006年08月19日 02時41分37秒 | お出かけ
ゴンザの夏休み中。
以前から気になっていた、東京国立博物館で開催中の
『若冲と江戸絵画展 - プライスコレクション -』を見に行ってきた。

7月4日から8月27日まで開催のこの展覧会。
伊藤若冲のものを中心に、近年になって脚光を浴びるようになった江戸時代の作品を展示しているのだが、これらの優れた作品を収集したプライス氏の、
「江戸時代にガラスケースはなかった」
とのポリシーの元に、一部作品がガラスケースなしに展示され、
しかも、光と影の文化である日本の家屋にそれらが飾られた状況を再現しようと、照明に工夫もなされている。

順路でいけば最後の部分。
薄暗い一室に設けられたコーナーでは、作品達は、それぞれ一点一点が、朝の光、昼間の光、夕刻の明かり、ロウソクのゆらめく明かりと、変化してゆく照明に照らされ、その作品の前で一日を過ごしたかのような疑似体験をさせてくれるようになっている。

目の前で、光の角度、色、ゆらめきの中、驚くほどにその表情を変えてゆく作品たち.....。

朝陽に、または夕刻の刹那に輝き、目の前に溢れるかのように迫りくる梅図屏風。
闇に沈む瞬間の寂寞感に、まるで自分が紛れ込んだかのように思わせる飛泉図。
ロウソクのあかりにゆらめき、恨めしげに凄みを増しながら、沈み、浮かび上がる柳の下の幽霊。

あまりの感動に動けなくなって、涙が滲み、照明が何度も、何日分も繰り返し変わってゆくままに見とれる体験の素晴らしさ。

出来るなら、この体験をさせてくれたプライス氏にお礼を言いに行きたい.....。

まさか、日本の美の心をアメリカ人に教わることになろうとは。

そして。
美術品を見る際に、それらが何のために、どこに置く為に作られたのかを考え、同様の条件化に置く事がどれだけ大切なことなのかを知り、これほどまでに感動するとは。

屏風の魅力を、私はこの展覧会で初めて知った。

最後の一室でゴンザと、それぞれお気に入りの作品の前で何日分もの夜明けと夕暮れを繰り返し体験し、互いにあまりの感動で言葉少なになりながら会場をあとにしたのち。

「会期は残り少ないけれど、絶対にもう一度見に来たいね」
と、興奮気味に話し合い、湧きあがる思いによろめくようにベンチにへたり込んだ二人だった。

空が、青い。

皆さん。
『若冲と江戸絵画展 - プライスコレクション -』
は、東京国立博物館で8月27日まで開催中です。
金曜は夜8時まで開館しているそうなので、お時間があればぜひ!ぜひ!お出かけになってみて下さい。

いや。
時間がなくても作って行って欲しい(笑)

それほど感動的な展覧会でしたよ。