
信濃大町北部の青木湖畔の高台、標高855mの山小屋 鹿島クラブを拠点に居谷里湿原、姫川源流、八方尾根などを散策しました。何回かに分けます。今回は居谷里湿原です。
高床式の総二階建ての山小屋。床下は地下室風物置。1階は洗面、風呂、トイレ、キッチンと暖炉の居間と小部屋など、2階は寝室。

これは5・60年くらい前の最初の山小屋です。広島大学山岳部OBの有志が出資して建てられました。現在の建物は3代目になるそうです。

山小屋の当初のころメンバーです。この中のおひとりに大変お世話になった雑草です。この写真は山小屋に有ったものを複製しました。

初日は安曇野のちひろ美術館への希望があって、密かに願っていた居谷里湿原は行けないのかと思っていたところ、たまたま美術館の模様替えなどがあったらしく休館とのことで、それではと居谷里湿原のハナノキ見学行きが実現しました。花の少ないこの時期は湿原を訪ねる人もなくひっそりとツリフネソウが咲いていました。このツリフネソウは毛深いですね。

目的のハナノキ自生地です。でも近づくこともできず、どれがハナノキか判然としません。
ハナノキは岐阜県と長野県の南部と愛知県の三県の県境が接する付近が自生地です。自生地は日本ではこの地方に限られていて国または県、市等の天然記念物に指定されています。大町市の居谷里湿原の自生地だけがかけ離れていて、いわゆる隔離分布をしていて、ハナノキの北限でもあります。

カメラの望遠で見上げるとハナノキらしい葉がみえました。
ハナノキはカエデの仲間でハナノキ節に分類され、ハナノキ節は世界に3種類があり、北米大陸にアメリカハナノキとギンカエデの2種があるそうです。太平洋をはさんで日本と北米にこれまた隔離分布しています。

ハナノキはカエデのなかでも花が際立って美しい木です。さらに新葉が展開するときも赤く、
秋の紅葉も美しく、年に3回楽しめる木です。

この木の実はサワフタギと思われます。

サラシナショウマです。私の印象では花穂はもっと長かったように記憶していましたが、やや短く枝分かれも多いような気がします。

居谷里湿原は1周およそ1kmほどです。ショウブ橋のほうから反時計回りに廻りました。春にはミズバショウ、ザゼンソウなどが見られます。ほかにノハナショウブなどもあるようです。

珍しいキノコ・ヤグラタケを撮影している方がいました。下の黒いキノコの上に白いキノコがはえています。黒いキノコはクロハツ、白いキノコはヤグラタケというそうです。このキノコを撮影していた写真家の方に教えていただきました。

可愛いキノコですが毒です。

フユノハナワラビが胞子をつけていました。

ハナノキ自生地とは反対側に大きな花の木があることを写真家の方に教えていただきました。
湿原のハナノキは近くに行けなくて詳しく見ることができないので心残りのまま帰らなければならないのかと残念におもっていたのです。

ハナノキの幹、木肌は縦に裂けていました。


紅葉した葉がいくつかついていました。

紅葉した葉。すべての葉が紅葉したらどんなに美しいことでしょうか。


大きなハナノキを教えてくださった写真家の方から、サルナシとキノコをごちそうになりました。車に寝泊まりして1~2週間過ごすそうです。この方のお住まいの地にはハナノキがたくさん自生しているそうです。
次回は早朝散策と姫川源流についてです。