まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

じわじわと・・・

2013-05-16 15:43:07 | くらし

佐渡に来た時は満開だった八重桜が終わりに近づき、
藤の花、カラタチの花、オオデマリが見頃を迎える。

 

施設の母の部屋に入った時、お隣さんの姿がない。母よりちょっと年上の方。
寝た切り状態は母と変わらないけれど、いつみても体調は安定していたのに。
ひと月前はなんともなかったのに・・・
そういうことになったのかと切なくなる。
そして、二月前から見えなかったもうおひと方も戻ってこない。

もう1ケ月も前の話。

温泉前のバス停で、お母さんを連れた娘さんにバス時刻を確認された。
「おかあさん、おいくつですか?」
「90になるんですよ」って。

私はびっくりしてしまう。外見はもっともっと若く見える。
しゃんしゃんしているじゃないですか。耳もよく聞こえるようでお話もしっかりして。
「これが最後になると思います」って。「えっ?!」
佐渡に住むのも後10日くらいだとのこと。
引き上げて都会のお姉さんのところに同居されるとのこと。

「よくおかあさん承知しましたねえ」

説得に10年かかったそうだ。
ごみ出しの日も分からなくなり、5分たつとさっきと同じ話を繰り返すそうだ。
もうこれ以上一人暮らしはさせられない、と決断したうえの娘さんの行動。
母娘お二人の佐渡最後の日帰り温泉。

90年暮らした佐渡を離れる。
いくら娘さんとの同居でも見ず知らずの都会で暮らすことになる。
どんなお気持ちかと私の方が切なくなってしまった。

佐渡に帰ってそこここで世間話をすると、この手の話はざらにある。
いちいち気に留めていたら身が持たないほどだ。
でも、身が持たないと分かりつつも我が身の行く末と重なって、じわじわと心に滓のようなものが積もっていって離れない。

 

 

 

コメント
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