まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

本当のような嘘の話

2015-10-27 08:43:36 | 旅行

「嘘のような本当の話」というのあるけれど。

今回のガイドさんはフリーでお仕事なさっているという地元の方。
「えいっと決心して買いました」という地元の塩沢紬で作った作務衣のような上着とスカート姿が個性的。
このガイドさんが話上手。ちょっとはお休みしていいのよ、というくらい次から次へと話題を披露してくれる。
その中のひとつふたつね。だいたいこんな内容ということで。ざっくりと。

「くねくねの道路が続きますから網棚の荷物を今一度確認して」との注意の後で。

東北ツアーで、高齢者二人の幼馴染大親友さんが一番前の座席にいたんですって。
もちろん車内でもその仲のいい様子がそこかしこでうかがえる。で、ガイドさんが網棚にお荷物に気を付けて、とお願いしても、
「ガイドさん大丈夫大丈夫、心配いらないよ」と言って。
ところが、あるカーブでお二人のうちのひとりがお土産に買った南部鉄瓶が、もうおひと方の頭の上に直撃、
しかも尖った部分がゴツンと直撃したそう。
そこで謝ればいいものを知らん顔。さてさて以降の旅行は二人は口きかず。
ツアーのバスはシーンとして、ガイドさんひとりが空しく話していた、とのこと、よ。

そこで頭の固い私は聞き流せばいいものを考えた。
鉄瓶の尖がったところが頭にぶつかって血が流れなかったのかしら、
そもそもお土産に買ったものなら包装してあるよね、
いくらなんでもいい年した大人が謝らないことなんてないよね、
三国街道上っている間中、そんな妄想が膨らんでいって。そういうことよね。

地元魚沼は山に囲まれているけれど、ガイドさんは山に入るのは嫌いだそうだ。
訳はお分かりいただけるでしょ、蛇がそこらここらにいるから、ですって。そうよね。
嫁いだ先の地元の方は蛇なんか平気だから素手で捕まえる。
義母さんもなんとマムシを手で掴んで持ってきて、ガイドさんに
「サエコサン(適当です)、これが怖いマムシだからよく見ておいて」と見せてくれたそうな。お義母さんの親切。

で、マムシって親と同じ形で生まれるんですって。
その時お義母さんがマムシのお腹を手でびーっと割いて、「ほら」と見せてくれた時はまだ卵だったんですって。
「サエコサンこの卵を飲むと一生風邪をひかないんだよ、飲むかい?」とお義母さん。
ガイドさん丁重に断って、冷蔵庫に保管。
何日かして冷蔵庫の中を見ると卵がない!
「お義母さん、卵がないんですけど」と聞くと、お義母さん
「あ、あれかい、昨日カレー食べただろ、あの中に入れたよ」だって。
そのおかげで、私は今まで風邪は数回しか引いていません、とガイドさん。

その話の途中も私は妄想する。
カレーの中に入っているぶつ切りのマムシ、お義母さんが持っているマムシの図、腹を手で割いている様子、
腹の中から出てきた卵が並んでいる図、いやあ次から次へ絵が浮かんでくる。バスが魚沼地方を走っている間中、
座席の位置が悪いから窓外の景色を楽しめないのをいいことに妄想する。
そして。
カレーに入れたのは卵かしら、それとも本体かしら、変ね。そもそも卵は冷蔵庫の中でマムシになるかしら。
というような、ほんとのような嘘のお話を楽しんで。


越後湯沢の駅でバスを降りて、お別れするガイドさんに満面の笑みで、
「数々の詳しい説明、楽しかったです」とお礼を述べた。はい。

 


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする