まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

旅の土産は

2016-12-12 08:42:41 | 旅行

例によってお土産はなし。
形あるお土産はないけれど、ずいぶん持ち重りのするお土産をいただいたわ。

 天龍寺の紅葉

帰りの新幹線は3人掛け座席だからひとり参加の方がお隣に。私よりは年上の方でとても肌の美しい方。
荷物整理して準備万端整えてさてととくつろいでいる。
そこへ添乗員さんが夕食のお弁当を配ってきた。その方にもね。
「あら、私注文しました?」って。膝の上にはもう一つお弁当が。
添乗員さん、あきらかに困った様子で「確認しましたが」
あら?そう?と少し押し問答したけれど、注文したのねいただくわって。膝の上にはお弁当が二つ。
そのつもりなかったけれど誘われたから駅のお店で食べたの、とおっしゃる。
どうするのかしらと心配したが、携帯していた袋に二つともしまった。旅慣れている。

 
(天龍寺 豆柿)

しばらくして恒例のアンケート用紙に記入していたが、
「朝食はバイキングでしたよね、何を食べたかしらたかしら覚えてないわ。何がありました?」と聞かれた。
あれとこれとと夫と自分達が食べたものを数え上げる。
覚えてないわ、お皿を二つ並べたことは覚えているから食べたのよね。
昨日の夜と昼食べたのは覚えているのよ。
昼ひとりでうろうろするのは嫌だから注文したの、おいしかったですよ。
食べたことは確かだから「ふつう」でいいんじゃないですか、と言ったら
それは気持ちが悪いのよ、思い出せないのは気持ちが悪いとおっしゃる。
分かるわ。けれど思い出せないからしょうがないわねと結論付けて。 

それからよもやま話
82歳ですよ 主人も子供もいないから
「主人が死んでくれて幸せになりました」
えっ?絶句!あまりのお言葉に相槌も打てない。
夫が「俺もカミさんのために早く死なんならんですな」と言ったら真顔で「そうですよ」って。

主人?まだ会社務めしていたからいくつだったかしら
それから幸せですよ
住んでいた家を売ってそのお金が無くなるまで世界旅行しました 南極まで行きましたからね
オーロラ?もちろん姪を連れて見に行きました
1年に10回は海外に行きました 部屋にトランク4つ並べておいて場所ごとに選んで持っていくの
いちいち詰め替えるの面倒でしょ
今は賃貸のマンションに住んでいます 公園の中のマンション  楽よ
壊れたら大家さんに言えばいいんだから

いつ帰ってくるかって寝られなかったけど今は鍵を掛けてしまえばいいもの
苦労しましたからねいろいろ病気しましたっておっしゃる。
会話の向うにいろいろ透けて見えるものがある。

今は遺品整理が趣味よ いろいろやっている 夜中でもやっている
写真だけは処分できなくてCDにしてもらったわ
終の棲家を探して何回も引っ越したけど今住んでるところはとても気に入ってるから
これで家さがしもお終いね
死んでからのことはそういうことやってくれるNPOと契約しました

今は国内旅行だけ、独りがいちばん
幸せよ 寂しいなんてない この歳にならないとこの歳のことは分かってもらえないわね

新幹線車中のほんの短い時間の話、まだまだ書けない話もあった。
通りすがりの他人だからでしょうけれど、結構なお土産でいまだに鮮明に残っている。
持ち重りのするお土産もいただいたけれど素敵なお土産もいただいた。
歳も多少の身体の不自由もは関係ない。
自分で歩くことができれば、臆することなくひとりでも旅行に参加できるんだと実感して。それが何よりのお土産。


 

コメント (6)
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