まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

家族のお話 中島京子さんの2作品 『平成大家族』 『桐畑家の縁談』

2018-03-09 08:28:26 | 

中島さんの本が読みたいなと思ってずいぶん待っていたけれど、やっぱり地区センターの蔵書にはなさそうなので
暖かい日に図書館まで出かけた。あったわ!読みたかった探していた本が。

 『平成大家族』

緋田家当主龍太郎さん 72歳 趣味の域に入っている「義歯の製作」以外は悠々自適の隠居生活。
妻の春子さん 龍太郎さんより6歳年下の主婦。
庭の物置に住むひっきーこと引きこもりの透明人間のような長男の克郎さん(30を超えている)。
離れに90を超えるタケさん(やや認知症気味)の3人暮らし、いや4人か、のはずだった。

が突如、長女の逸子一家が同居させてくれと転がり込んできたの。
逸子の夫の柳井聡介さんが事業に失敗して自己破産、何もかも失ったというわけで、よ。
長女一家とは聡介さん、逸子さん、
ひとり息子のさとるくん(めでたく中高一貫の有名私立に受かったばかり、なのに公立中転入になる)の3人。

そして、あろうことか次女の友恵さんが離婚してこれまた緋田家に転がり込んできたのよ。
おまけに元夫の子供じゃなくて、14歳年下の髪の毛の半分が緑、半分が黄色というお笑い芸人の子供を
妊娠していたというからややこしい。

3人からいや4人か、一挙に8人に増え、
母屋に緋田夫妻とタケさん、母屋の2階にさとると友恵、別棟に柳井夫妻、物置に克郎。
と、すったもんだの末、全員の配置が決まって。
そこからさらに8人それぞれのすったもんだのあれこれが巻き起こるのよ。

私は年齢からいって、どうしても緋田春子さんに親近感がわいてくる、そうそう分かる分かるなんて。
だってね、久しぶりに仲良しグループの集まりに出かけて、
そこで一世一代の決心で自分ちに巻き起こっている災難いや悩みかを打ち明けようとするのに、
途中まで話すと、他の人の別の話に持っていかれて、そのくらいは、とかまだ幸せよとか言われて。
さらに(お幸せよ)なんて。
帰り道で「ああ、疲れた」と思わず知らず声が出るの、それも2回も。そりゃあ疲れるわよね、むりないわ。

そんなに多くは望まない。
ただ年をとってくると、単調で平穏な生活を乱されるのは不快で不都合なことなのだ。
それを誰かにわかってほしい。(略)
憂しとみし世ぞいまは恋しき。出てってほしいー

私が分かって差し上げます、春子さん。なんて。

中島さんの辛辣な文章、その底流にはユーモアと登場人物に寄り添う暖かい心情が垣間見えて、
読後爽やかになる、しみじみする、そうねそうよねと共感する。好きだわ。

 

『桐畑家の縁談』 

気質、性格のまったく違う姉妹、姉、桐畑露子さん・妹、桐畑桂子さんの結婚を主とした
しどろもどろの日常生活エピソードをそれぞれの目を通して綴った作品。
私は最初にこちらを読んだからいいけれど、「平成大家族」を読んだ後ではきっと物足りないだろうな。

目次には1章から13章までずらっと料理名。
そして章の下には 姉露子さん、妹桂子さん、ご両親の心のうちを表すようなタイトル。
最後の13章が 「米の雨」 桐畑姉妹の笑顔 
とあればどのような結末が待っているか想像がつこうというもの。
さてどちらが結婚するのでしょうか。
緩いけれど、仲良しの姉妹のお話は心地よくてほほえましい。

 

 

コメント
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