まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

夏はサスペンス小説で

2018-07-13 08:46:36 | 

 昨夕 18:08

連日の暑さ。
まだ7月の半ばというのにもう30度越えの毎日なんて狂気の沙汰だわ。
今日からの3連休は暑さが半端じゃないと気象予報士は警告している。
そんなぼーっとした日にはサスペンス小説がいちばん。

どの作品もミステリー、本格的な謎解きとかではないけれど。

 『氷の華』 天野節子

専業主婦の恭子は、夫の子供を身篭ったという不倫相手を毒殺する。
だが、何日過ぎても被害者が妊娠していたという事実は報道されない。
殺したのは本当に夫の愛人だったのか。
嵌められたのではないかと疑心暗鬼になる恭子は、自らが殺めた女の正体を探り始める。
そして、彼女を執拗に追うベテラン刑事・戸田との壮絶な闘いが始まる。長編ミステリ。

物語としてはどこかなんとなく破たんがあるような気がするのだけれど、
それを上回って犯人と追い詰めていく刑事の心理戦の様がドキドキで。
殺害に至る陰謀、複線、女性心理、執拗な刑事の推理と追及が息もつかせぬ展開で、
はらはらしながらこの先どうなっていくのかととても面白かった。一気読み。
犯人と刑事の攻防がちょっとTVドラマ刑事コロンボを思いだしたわ。

それにしても、作者の天野節子さんは60歳から小説を書きはじめ本作がデビュー作品、
しかも自費出版だったとは、すごいエネルギー、パワーの持ち主だ。

『氷の華』が面白かったので続いての天野さん2作目は、
 『午後2時の証言者たち』 天野節子

誰が少女を殺したのか。
数行の三面記事に隠された、証言者たちの身勝手な事情。
被疑者の高慢、医師の正義、看護師の自負、目撃者の憤怒、弁護士の狡猾、遺族の懺悔、刑事の執念。

三月五日、午後二時ごろ、みどり市旭ヶ丘一丁目の横断歩道で、
近くに住む八歳の女児が走ってきた乗用車にはねられ、病院へ搬送されたがまもなく死亡した。
乗用車を運転していた二十六歳の男性に詳しい事情を聞いている。
たった数行の三面記事から始まる、慟哭のミステリー。

こちらも犯人は早い段階で想像されるが、やはり追う者追われる者の心理戦の攻防が面白くて。

 『消えた人達』 北原亜以子

懐かしい北原さんの作品。
ちょっと落ち込んでいたりふさぎ込んだりしていたとき、北原さんが生きていてくれて『慶次郎縁側日記』
の続きを書いていてくれたらな、読んでしみじみしたいなと何度思ったことか。
2013年死去されているからそれもかなわない。
そんな中見つけた未読の1冊。

1995年の『昨日の恋 爽太捕物帖』シリーズの2作目が1999年に発刊の本書。 

芝露月町の鰻屋「十三川」の入聟・爽太は、同心・朝田主馬に十手を預けられ六年。
ある日、幼馴染み弥惣吉の女房おせんが、「探さないで」と置手紙を残し忽然と消える。
健気で評判の女房に、何があったのか。中山道へ行方を追う爽太達が出合ったものは…。
探索行は、来し方をふりかえる旅でもあった。
江戸下町の人々の哀歓を描き定評のある著者が、あふれる情感でつづる、久々の長編。  

「消えた」のは人だけではない。
「あいつはそういうやつじゃない」いや「あいつはそういうやつだ」
そう思っていたそういうやつも年月とともに消えていくのか。
それとも、もともと持っていたものがあぶり出てきただけなのか。

北原作品としてはちょっと物足りないけれど、でもでもやっぱり北原さん、しみじみした。

コメント
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