旅行の日も近づいてきて。
初めて宿をネット予約してすべて完了したと思っている夫に、次の日はどうするの?と訊いた。
えっ?とぎょっとする夫。
「おれ、股のぞきしてくればいいんだけど」
えっ?!今度は私がぎょっとする。
が、以前読んだ「妻のトリセツ」を思い出した。男の脳は一直線、途中あれしてこれしての発想はない。
そうか、夫に関しては見事に当てはまる、けれどいいわけない、もったいない。
はるばる京都の先まで行くんだから、私は粘った。「一カ所くらいは見て来ようよ」と。
もうすでに面倒くさくなっていることが見え見えの夫は「じゃあ三十三間堂に行くか」って。
おおーっ、いいじゃないの。内心「智積院」で決まりだなとほくそ笑む。ずっと以前から行きたかったんだから。
行きの行程だけで手いっぱいの夫に代わって、帰りは私が取り仕切る。もうスムーズよスムーズ。
ちゃっちゃと市バスに乗って東山七条で降りる。ちょっと後戻りすれば智積院はすぐ目の前だ。
収蔵庫とお庭を見るから500円の拝観料を払う。
薄暗い収蔵庫に入った途端、目に飛び込んできた障壁画にちょっとぞくぞくする。全壁面長谷川一門の障壁画。
中でも正面左手に等伯の「楓図」息子久蔵の「桜図」が並んでいるのを観たら、もう感激よ。胸が詰まったわ。
「楓図」 「桜図」(webから拝借)
400年以上の時を経ても今なお褪せない迫力がこちらに迫ってくるの。
色落ちは激しいけれど、当初はどんなに見る人たちの心を惹きつけたか容易に想像できる。
収蔵庫内は私たち二人だけの時もあって、すぐそばでゆっくり鑑賞できたわ。堪能した。
この他に『松に秋草図』(国宝)『松に黄蜀葵図』(国宝)『松に梅図』(重要文化財)『松雪の図』(国宝)が。
収蔵庫から講堂へ。講堂内には桜図楓図のレプリカが。
大書院の縁側から名勝庭園を眺める。「利休好みの庭」ですって。
それにしても静かです この時観光客はほんの少し3組だけ 東山にもこんなお寺があるんだというくらい
最後に金堂へ。