まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

突きつけられる 舞台『アルトゥロ・ウイの興隆』

2020-01-25 13:39:59 | くらし

いやいや凄かった、白井晃さんの演出も草彅剛さんのパフォーマンスも。

 

パンフレットの挨拶文
「ドイツ演劇界の巨匠ベルトルト・ブレヒトが第二次大戦中に書き下ろした本作は、
ヒトラーとナチスがあらゆる手段を使い独裁者として上り詰めていく過程を、シカゴの
ギャングの世界に置き換えて描いたものですが、その興隆の歴史は、どの国でも起こりうる
危険な現象であり、まさに現代の世相を予言したような作品です」
すべてはこの文に尽きる舞台だった。

終わった後、胸がざわざわしたまま会場を出ると、入り口付近にいた白髪で痩身の男性が
「ありがとうございました」と声をかけてくれた。
「胸がざわついて最後は怖くなりました」と感想を述べる。そこから少し立ち話。

この劇をストレートに演じると必ずクレームが出るんですよ。
そこでうちの白井が、話をクラブでショウをしているように見立てて、
最後の最後に伝えたいことをぶつけてきたわけ。
多くの人に見てもらいたいです。
昨日と一昨日は中止になってほんとに悔しかった。
草彅さんと白井が一番悔しかったでしょう。
草彅さんと白井が悔しかっただろうと2回も繰り返す。

正確ではないけれど内容は合っているはず。お名前を伺ったらその方は館長さんだった。
そう、製作者側の意図はしっかり明確に伝わったわ。
じわじわと胸がざわついてきはじめ、最後にはズーンと突き刺さったもの。
ぼんやり生きていていいのか。
今の世の中は大丈夫なのか。って。

舞台はバンド、オーサカ=モノレールがジェイムズ・ブラウンの曲をガンガン生演奏する。
そして客席を煽る。知らず知らずのうちにアルトゥロ・ウイに洗脳されていくような。
このバンドが実にかっこいいのよ。皆してコンサートみたく普通に拍手喝采よ。

 

ヒトラーとナチスの台頭に移し替えられているので、登場人物も事件も現実のモデルが存在する。
たとえば、立ち居振る舞いを役者から演技指導を受ける。(ヒトラーがそうしたように)

 
左が役者の小林勝也さん、右はゲッペルスの渡部豪太さん 象徴的なこのポーズも

 
ドイツ大統領役 古谷一行さん        神保悟志さん

恐喝や暴力や殺人、裏切りなどなどでウイは隣国まで制覇していく。
そして観客の私たちは、ウイの演説を聴いている聴衆として彼に賛成か否か問われる。
賛成の者は手を挙げて、と。
舞台、客席、役者たち、バンドが演奏や手拍子や動作で私たちを煽る煽る、熱狂の渦へと。
実際手を挙げた観客もいたのよ。ほんと。
上げないことが分かると機関銃で観客を撃つの。
ああ、実際こんなことが行われていたんだなと実感させられるわけ。

最後、下りてきたスクリーンにヒトラーの「熱狂」は入る言葉が映し出されて。
白井さんの言う「熱狂」という病。白井さんは続けてパンフに、
「私は今回の舞台でこの熱狂を作り上げ、皆さんに疑似的に体験してもらうことで、
その恐ろしさを考える一助にしてもらえればと思っています」と。

何度も書くけれど、バンドの演奏がジェイムズ・ブラウンの曲が、
草彅さんのシャウトする歌声が色気のあるダンスが観客の「熱狂」を生み出していく。
まさに恐ろしい、恐ろしさが分かる。


(写真はすべてネットからお借りしました)

休憩挟んで3時間の舞台、休演明けの昨日はカーテンコール3回、拍手鳴りやまずでした。
私、今日からは風邪をひいてもインフルエンザにかかってもいいです。

ちなみに隣の席の方は札幌からいらして、3日分のチケットが当たっていたのに2日休演だったそう。でも今日観られてよかったと。「ご縁があったらまた」
出ずっぱりのウイ草彅さんはアドリブで
♪電車で通うアルトゥロ・ウイ 横浜kaatアルトゥロ・ウイ なんてシャウトしていて。
松尾愉さんは体形に似ず切れっきれのダンス、いやバリータークの時から分かっていた。

 

 

 

 

 

コメント
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