まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

関係は変わる

2023-05-14 09:01:52 | くらし

ミニバスこまわりくんは、時に相談室と化す。
狭い空間ぴったりと寄り添って座るけれど、顔は前向き。ひそひそ声で両隣には聞こえ
ないようにと。長くて20分、短ければ10分の会話。それぞれ下車したバス停でさよなら。
なんにも後に残らない、残さない。

3月3日のブログ下書きに下の文章を書いていたが、アップするにはどこか躊躇うものが
あってずっと放置していた。
以下がその時の文章。

バス乗り場でイシノサンと一緒になった。本当に久しぶり、去年の12月以来。
その時はご主人が入院中とのことで、物音などでびっくりするから一人は怖いなんてことを。
ご主人は持病に加え、軽い認知症が入っている。

「遅かったわ」と言う。
もっと早い、ご主人が認知症になる前に離婚しておけばよかったと言う。
食事作りも各々でそのほかも別、ほぼほぼ家庭内別居状態だったのだから、その時点で
決心しておけばよかったと後悔するの、なんて。娘たちにも言われるのよって。
気持ちはとっくに切れていたのに、ま、そんな状態で暮らしているのもそれなりに、と、
ずるずる続けていたのがいけなかったわ。何でもさばさば決断するのにね。
今の対等じゃない状態でいくらなんでも離婚はできないでしょ。それはできないわね。

 

 

電気が切れていても「切れてるよ」とだけ言って取り替えは妻のイシノサンが。
なんでも上から指図して他の人はそれに従うという図。
妻はとっくに気持ちが離れているのに、
「夫は自分は幸せ者だ、といつも誰にでも言ってるのよ」こんなでもよその人に
「仲がいいわね」と言われるのって。

ひとりになりたいとイシノサンは言う。家の中でひとりじゃなくて、物理的に離れて
たとえ数時間でもいいからひとりになりたいって。
でもでも、そんな状態でもご主人との生活は続けていくことになる、覚悟はできていると。

 

 

そして、先日。
またもや久しぶりにバス停でイシノサンと会ってこまわりくんに乗り込みながら話をした
ら、それまで放置していた下書きを記事に上げることに躊躇いがなくなったので続きを。

あれやこれやの世間話をちょこっとして。
「その後ご主人どう?」
それが、信じられないくらい穏やかになったのよ、と。
自分でもこんなふうになるとは思わなかったわ。私もいろいろ考えて
「あれもダメこれもだめ」と言わないようにしたのよ。
糖尿があるから甘いものはそれ以上ダメよ、とかダメ出しが多かったのね。
それをやめて、もう好きなように過ごしてもらおうと決めたの。そしたら感じたのか
しらね、主人も変わってきたのね、それがやはりよかったのかしら。
すごく穏やかになって、と。
イシノサンとご主人の会話の一端を聞いていたら
例えば「食べますか?」とか「お願いします」とか「しましょう」とか丁寧語だから
不思議な気がして「いつから?」と訊くと「いつからかしら、認知症になってそれも
最近だわ」と言う。お二人の変化と言葉遣いの変化は関係したのかしら。

 

 

ご主人の認知症がきっかけで、私が変われば相手も変わることを経験したイシノサン。
穏やかな関係が生まれる。
話を聞きながら、私もしみじみと深々と感じるものがあった。
でもでも、そうはいってもイシノサンの大変さには変わりがない。最後に彼女は
「ストレスからかしら、胃が痛いのよ」と言ってバスを降り、あちらとこちらに
分かれた。

 

 

コメント (3)
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