電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

文書の編集について

2007年12月01日 08時02分02秒 | ブログ運営
先日の「ブログ文章構成法」について、以前、私が中心になり、ある報告書をまとめることになった際に、似たような文章を書いたことを思い出しました。途中の技術的な内容を省略していますが、大要はこんなものでした。

※文書の編集について

 文書の編集というと、その内容は次の三つのレベルに分けられると思います。

(1) 文中の字句の加除修正
(2) 段落の移動、順序変更
(3) 節、章の移動、順序変更

 ここで、(1)の字句の加除修正は、単純な文字挿入や削除が多いわけですが、他には文字単位のカットアンドペーストが頻用されます。また、(2)の段落の移動、順序変更は、行単位のカットアンドペーストが中心になるでしょう。

 これは、文字→文→段落→文章(節→章→文書)という考え方に立っているからですが、これについては、一つ印象的なことがあります。

 だいぶ前になりますが、朝日新聞に、井上ひさしさんが中公新書の『理科系の作文技術』(木下是雄著)という本を激賞する書評を発表したことがあります。その中で、パラグラフの意義を明快に定義していることを重視していました。文学者は、適当な長さになったからそろそろ段落を改めようか、くらいの意識しかない。それが、一つの段落には、中心となる必ずトピック・センテンスがあり、それらの段落が論理的につながって一つの文章の主張を構成する、という明快な考え方に賛同する趣旨だったと記憶しています。

 テキストエディタで文書を編集する場合、同じ段落の中で、主語と述語の関係を統一するのと、数行のパラグラフを移動するのと、節や章ごとそっくり移動することとは、たしかに質的に違うのですね。

 表記や文体の統一は確かに重要なことです。しかし、報告書全体としての重要性を考えれば、むしろ段落や節、章などの順序がこれでよいのかという、文書の構成にかかわる編集を行い、その良否を検討することが重要だと思います。それこそが、編集者の中心的な責務であるといえましょう。

 こうした編集が、自由自在に行えるテキストエディタは、長年使いつづけていますが、仕事の上でも私的な面でも、最も使用する頻度の高い、便利で生産的なツールであると感じます。
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