電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

プロコフィエフ「ピアノソナタ第8番」を聴く

2007年12月23日 08時14分33秒 | -独奏曲
通勤の音楽、ここしばらくは、プロコフィエフのピアノ・ソナタ第8番と第9番を聴いておりました。特に、第8番、Op.84。もともと好きな曲ですが、今回はかなり長い間カーステレオのCDプレイヤーを占領しておりました。ピアノは、イェフィム・ブロンフマン。SONYのSB3K87747 という型番の3枚組CDで、プロコフィエフのピアノ・ソナタ全9曲を収録しています。CDケースの裏面に、
www.essentialclassics.co.uk
と表示がありますので、イギリスからの輸入盤でしょうか。数年前に、某新☆堂で購入したものではなかったかと思います。

第1楽章、アンダンテ・ドルチェ。静かで神秘的な雰囲気を持った始まり。叙情的な長い楽章ですが、ダイナミクスの幅が大きく、訴えかけてくる音楽に聞こえます。
第2楽章、アンダンテ・ソニャンド。まるでシューマンのピアノ曲のような、夢見るような音楽ですが、響きはまぎれもないプロコフィエフの音楽です。
第3楽章、ヴィヴァーチェ。途中で、初心者のための練習曲のようなところがあり、さらにドビュッシーやラヴェルのようなところもあり、最後は荒れ狂うように終わります。音楽史的なものというよりも、作曲者の個人的な音楽生活の回想なのでしょうか。だとしたら、最後の荒れ狂う終わり方は?素人音楽愛好家である私には、専門的なことはわかりませんが、技巧的にたいへん難しいものを持つ音楽なのだとか。充実した、見事な音楽としか言いようがありません。

1939年に着手、1944年に初演されたこの曲は、交響曲第5番と同時期に作曲され、3曲の「戦争ソナタ」のうち最後の、叙情性に特徴を持つ音楽です。初演は、エミール・ギレリスが担当、妻ミーラ・メンデリソンに捧げられ、スターリン賞を受賞した作品とのこと。後の、官僚が芸術を規制しようとした「ジダーノフ批判」以前には、ソ連国内で、しかるべき人がきちんと評価していたということなのでしょうか。

そういえば、20世紀の作曲家の中で、ソナタ形式で書かれた作品をピアノ・ソナタと銘打って発表し続けた人は少ないのかも。1人で9曲も書いたプロコフィエフにとっては、ピアノは最も親しい楽器であり、ソナタ形式は必ずしも古い形式ではなかったのかもしれません。

■ブロンフマン(Pf)
I=14'31" II=4'09" III=10'17" total=28'57"
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