電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

コレルリ「クリスマス協奏曲」を聴く

2007年12月15日 10時04分31秒 | -オーケストラ
ジョージ・セルの残された録音には、ロンドン響とのヘンデル「水上の音楽」等の名演がありますが、全体に、近現代のものに比べてバロック時代の作品は少ないようです。その意味で、1968年12月19日の定期演奏会で、コレルリの合奏協奏曲第8番、いわゆる「クリスマス協奏曲」が取り上げられている点は注目されます。セルお気に入りの、ラファエル・ドルイアンとエイブラハム・スカーニックがヴァイオリンとヴィオラのソロを受け持つ、現代オーケストラの精華と言うべきクリーヴランド管弦楽団が演奏するコレルリ。緊密で荘厳で豪華なバロック演奏の極北と言って良いかもしれません。このときの演奏が、正規盤で出ていたらなぁと残念に思います。

これに対し、小規模な室内合奏団による演奏は、もう少し伸びやかなものになります。クレスト1000シリーズに配された二枚組CD(COCO 70663-4)は、コンタリーニ宮におけるイタリア合奏団の演奏をデジタル録音したもので、以前も通勤の音楽として聴いておりました。今回は、時期もちょうどクリスマスを前にした時期です。

第1楽章、ヴィヴァーチェ~グラーヴェ。輝かしい始まりが印象的で、あとに沈み込ような音楽が続きます。第2楽章、アレグロ。第3楽章、アンダンテ~アレグロ~アダージョ。いわゆるバロック音楽らしい、優しい雰囲気を持った楽章です。第4楽章、ヴィヴァーチェ。第5楽章、アレグロ。こういう速い楽章は、小編成室内合奏の緊密なアンサンブルの特質がよく出ていると思います。現代の大オーケストラでは、この軽やかさは出せないでしょう。第6楽章、ラルゴ、パストラーレ・アド・リビトゥム。

テンポはやや速めで、響きが透明なこと、倍音成分が豊かなのでしょうか、ふわっとしたやわらかさを感じます。バブル絶頂期、クレスト1000シリーズとして提供されている、当時のデジタル録音のCDのラインナップを見るにつけても、DENON はいい仕事をしてくれたと思います。願わくは、ゲルバーのベートーヴェンのピアノソナタ全集を、ぜひ完成させてほしいものです。

■イタリア合奏団
I=1'33" II=2'29" III=3'13" IV=1'19" V=1'38" VI=3'36" total=13'48"
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