電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

木曜時代劇「風の果て」第8回を観る

2007年12月07日 06時47分53秒 | -藤沢周平
NHKの木曜時代劇「風の果て」第8回を観ました。帰宅が遅くなる予定でしたので、最終回の今日はばっちりと録画の準備をしていたつもりでしたが、なんと大ポカ(*)をやらかしていたことに気づいて愕然!それでも、帰宅したのがちょうど果し合い後に自宅で握り飯を喰らう場面でした。ありがたいことに、番組の終わりのほうで、ちゃんと果し合いの場面を再現してくれましたので、おおよその様子はわかりました。

さて、果し合いで野瀬市之丞を斬った桑山又左衛門に、家族ははらはらします。なんと、ジコチューばあさんのはずの加音さんまで、孫助さんの言葉と言って、時が解決すると伝えます。妻の満江さんも、早く隠居してもらいたいようです。執政として決断に悩む姿に、杉山忠兵衛のことばが実感がこもりますが、おいおい、政敵とはそんな気安い間柄なのかい?と、思わず吹き出しそうになりました。

実直な兵六の存在は原作でも大切なポイントですが、このドラマでも兵六はいい役回りです。一時は執政の座にあったほどなのにいつまでも子どもっぽい杉山忠兵衛を叱咤するところなど、実にかっこいいです。

さて、藤沢周平原作『風の果て』をドラマ化した本作品は、権力を描くのではなく、友情と出世を軸とし、義父の孫助や妻の満江さん、心を寄せる理解者であるふきさんなどが絡むホームドラマに仕立てることでお茶の間にも受け入れられるようにした、ということなのでしょう。野瀬市之丞など、死病におかされたことを悟り、又左衛門に斬られることを望んで、わざと一歩足を後退させたように描いていました。最終回にはみんないい人になってしまったようで、なんだかなぁ、です。脚本家は、「だって、組織も権力も、経験ないも~ん!」ということかもしれません(^o^)/

原作にあった、現在と回想と、時間が交互に行きつもどりつする重層的な構造が回避され、たいへんわかりやすくなった半面、原作の持っている推理小説のような緊迫感や、広大な荒地を開墾し一国の執政となるにいたる叙事詩のようなスケール感、たんに友情というよりはもっと複雑な剣術修行の同門の仲間たちの間柄など、だいぶ省略してしまったものも多く、『蝉しぐれ』のドラマ化と比較して、惜しいなぁと感じてしまいます。第1回から第8回にわたり、多いに楽しんだドラマ化でしたが、これらの点は、やや残念に思うところです。

■『風の果て』関連記事リンク
(*1):藤沢周平『風の果て』上巻を読む
(*2):藤沢周平『風の果て』下巻を読む
(*3):「ながい坂」と「風の果て」
(*4):NHK木曜時代劇「風の果て」公式WEBサイト
(*5):木曜時代劇「風の果て」第1回を観る
(*6):木曜時代劇「風の果て」第2回を観る
(*7):先週の木曜時代劇「風の果て」第3回
(*8):木曜時代劇「風の果て」第4回を観る
(*9):木曜時代劇「風の果て」第5回を観る
(*10):木曜時代劇「風の果て」第6回を観る
(*11):木曜時代劇「風の果て」第7回を観る

(*):実は肝心のチャンネルが違っていた。日曜日のN響アワーの設定、教育テレビのままになっていたのです(^o^;)>poripori
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