雑感日記

思ったこと、感じたことを、想い出を交えて書きたいと思います。

川航空機工業-1

2008-11-20 05:08:31 | カワサキ単車の昔話
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私は昭和32年(1957年)に川航空機工業に入社した。
まだ年号に西暦など誰も使わなかった時代である。

川重工業、川車両、川航空機の三社合併があったのは昭和45年(1970年)大阪万博のあった年だから、サラリーマンの最初の13年間を川航の社員として過ごした。


もともと川航空機は戦前からあった会社だったのだが、所謂軍需産業ということで戦後中断があり、昭和27,8年ごろは、ばらばらに疎開をしていたような会社が集まって、再開された会社であった。

そんな中断期間があったからだと思うが、
私が入社した頃の川航空機は、帳簿や台帳などは全然未整備で、配属された財産課では肝心の財産台帳など一切なかった。
計算書だけが存在しているような状況であった。

然し、何となく若さだけはある、今から思えば不思議な会社であった。
戦前からの機械類が山ほどあって、営業収入の足らない月は、その機械を財産課が売って繋いでゆくというまさに売り食いの企業状況でもあった。
その売買価格は、私より年下の同僚課員が戦前の簿価の再評価額から『エイッや』で決めたりしていたように思う。

今でも明石工場は結構広いのだが、私が入社した頃は今の倍ほどもあって敷地内に飛行場もあったり、西のほうはその境界線も定かでなかった。
そのあたりは、戦後、近くの人たちが、食料難で畑にしていて返して貰うのに補償料を払ったりした。
その土地もみんな売り食いして繋いでいたのである。
そして今、その半分ほどの土地があれだけあるのである。


然し一方では、東洋でただ一つのジェットエンジン工場を持ち、米軍も駐在していて、日本のどの企業も持っていなかったIBMもあったし、
『カフテリア』と称するタダで幾らでもコーヒーなどの飲めるアメちゃんのための喫茶店のようなところもあって、それが新入社員でも厚かましいのは入っていけるという自由な雰囲気もあったのである。
あんまり年取った上司もいなかったので、結構若々しいが幼稚な会社であったような気がする。

もともとは飛行機の、明石がエンジン、岐阜が機体を担当していたこともあって、
明石は汎用機のエンジン、ミッション、デイーゼルエンジン、そして単車のエンジンなどのエンジンを中心とした工場であった。


何故、急にこんなことを思い出したのかと言うと、
今朝のさるとるくんのブログに、カワサキロボットのことが載っていたからである。

更に、そのブログにコメントしたら、さるとるくんが返してくれたコメントは、

『rfuruyaさん
ロボットも作ってるんやぁ~とカワサキ技術に感激しました。』
とこうなんです。


あまり知られてはいないが(ホントに誰も解っていないが)、川崎航空機はロボットの先進メーカーなのである。
まだロボットなど、どこもやっていない頃から、生産型ロボットを手がけていた。
マツダやトヨタが、最初に工場ラインに採用したのは、みんな生産型のカワサキロボットであった。
ロボットにソフトの要素やいろんなことが組み込まれるようになるころから、それまでやっていなかったホンダのロボットなど楽しく面白いのが有名になってきた。
逆に川がロボットの先進メーカーであったことなど忘れられてしまったのである。

今、アクアラングに代表される酸素呼吸器などの分野でも、その開発は早かったのである。
ヒマラヤ登山に使われ酸素呼吸器は川製である。そこぐらいまでは知っていたが、アクアラングが幾らか関係があると聞いて自分でもビックリした。
今では病院の酸素呼吸器などで活躍しているようである。

兎に角、ジェットエンジンなどもそうだが、一番最初に手がけるのだが、そのうちに主役が誰かに代わってしまうのである。
ジェットエンジンなども川に勉強に来た石播のほうが主役になったりするのである。
そういう意味では、人がいいのかも知れない。
よく言えば、進取の気性だけは持っていたのである。

あまり企業としては賢いとは言えないのかも知れぬが
そんな自由なほかの大会社にない雰囲気を持っていたし、それが好きだった。


三社合併後の川崎重工業になってからも、造船などの重厚な落ち着いた雰囲気にはどうも最後まで馴染めなかったような気がする。
二輪車やジェットスキーというコンシューマープロダクトで、末端に繋がっていたこともあるが、
元はと言えば、『川航空機時代』の若々しいが少々軽い、イメージで会社生活を楽しめたのは幸いであったと思っている。

もう一つ、このブログのきっかけを作ってくれたブログがあるのだが、
それは明日のお楽しみに。


コメント (2)
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