朝日新聞(4月13日)
安倍政権は4月11日、エネルギー基本計画を閣議決定し、原発回帰、核燃料サイクルの推進、もんじゅの存続を決めた。
しかし、日本が核燃料サイクルを続行できるかどうかは2018年で有効期限が切れる日米原子力協定の改定にかかっている。
日本はすでにヨーロッパ保管分も含め44トンのプルトニウムを所有している。
これは実に核弾頭5500発分に相当する。
加えて六ヶ所村再処理工場が稼働すれば、年間8トンのプルトニウムが生産されることになる。
高速増殖炉の開発はとん挫し、つけ刃のように浮上したプルサーマル計画も福島第一原発事故によって再開する可能性はゼロに近い。
残ったプルトニウムの使い道は日本の核武装?
核武装論者である田母神俊雄氏と石原慎太郎維新の会共同代表がタッグを組み、都知事選で60万票も獲得する時代である。
米国はじめ世界各国の警戒心はあながち杞憂とは言い切れない。
もちろん核武装は国際社会での孤立の道であり、経済界含め多くの国民が許すことはないと信じたいが、では今あるプルトニウムはどうするか。
「もたもたしている間にテロリストに奪われはしまいか」
アメリカは日本の核セキュリティに全く信頼を寄せていない。
すでに日本に貸した東海村にある300キロのプルトニウムの返還要求を決定している。
昨年3月にはハーグ核セキュリティサミットが開催されるなど、来年のNPT再検討会議に向けて核セキュリティの確保が大きな論点になっている。
そもそもオバマ大統領の「核なき世界」発言は、核セキュリティへの懸念を念頭においてのスピーチでもあり、核軍縮を進めるキーワードの一つになっている。
そもそも「余分なプルトニウムは持たない」ことが日本の国際公約でもあった。
堂々と公約破りを続けて平気な歴代日本政府であるが、上位記事にあるように韓国は「それならばうちにも認めろ!」と要求を続けている。
そんなことになれば朝鮮半島の非核化はさらに遠のくが、韓国は米国のダブルスタンダード批判をさらに強めることは間違いない。
「核なき世界」を掲げたオバマ大統領の任期は残り2年。
協定改定は次期大統領の下でおこなわれるが、核軍縮での見るべき成果がないまま引退しては「ノーベル平和賞のもらい逃げ」の汚名を着せられることになるだろう。
日本の核燃サイクル中止を確たる流れにし、核拡散に歯止めをかけ、北東アジアの核セキュリティを高めることが残された目に見える成果ではないか。
外圧頼み、オバマ頼みでエネルギー基本計画の見直しを語るのは情けない気がしないでもないが、日本の核燃サイクル中止は核なき世界への大事なアプローチ。
世界のヒバクシャや平和団体、NGO、市民が叫び続けてきた国際世論でもある。
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