北野進の活動日記

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蓮池薫さん、帰国10年の告白

2012-10-15 | ニュースコメント
 拉致被害者帰国から今日で10年。
 蓮池薫さんは今晩のNHKクローズアップ現代で、北朝鮮での暮らしや拉致問題解決に向けた思いを語った。この間語られなかった事実や、拉致問題解決への踏み込んだ発言が随所にあり、約30分の番組だがなかなか興味深いものだった。

 特に印象的だったのは、北朝鮮が拉致を認めたのはなぜかとの問いに、日本の経済力をあげた点だ。厳しい経済状況にある北朝鮮は日本からの経済支援、経済交流を求めているという趣旨だったかと思う。

 5人の帰国には、劇的な小泉首相の訪朝、さらにその下準備をした田中均氏の役割も大きいが、その背景にあるのはまさに経済問題だという。

 一時帰国後、子どもたちのいる北朝鮮に再び帰るか、自分たちは日本に残り、子どもたちが日本に来る可能性に賭けるかが最大の決断のしどころだった。

 この辺りは兄・蓮池透さんが著書(昨年12月19日のブログ参照)でも語っているが、半ばケンカ腰の大激論があったとのこと。
 今回、薫さんが語った決断のポイントは、国内の経済事情から自分たち5人の拉致を認め一時帰国させるという北朝鮮としての大きな政治決断を考えるならば、自分たちが帰国しないことで、経済支援の狙いを放棄することはないだろうとの判断があったとのこと。

 番組の中では明言していないが、「拉致問題の解決なくして国交回復なし」ではなく、国交回復への交渉を進める中で拉致問題の解決を図るという道筋を示しているものと思う。最近、横田滋さんも圧力一辺倒ではダメだという趣旨の発言をされていたと思うが、ぜひ家族会も軌道修正を図ってほしいものだ。

 なによりこの10年間の日本政府は、「家族会(その裏での支援する会)が言ってるからがんばって圧力をかけてます」と、自らの外交努力の怠慢を家族会のせいにし、拉致問題解決の思考停止状態に陥っていた。

 金正恩体制への移行で、日朝間での新たな交渉が水面下で進んでいるようだが、政府・外務省には蓮池薫さんの新しい提起も踏まえ、解決に向けた大きな構想をしっかりと描いてほしいものだ。
 

 


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