世界9月号の1つ目の特集は「三分の二」後の政治課題。
上智大の中野晃一教授と学習院大の青井未帆教授の対談などはいかにも岩波だが、意外だったのは民進党前原誠司代議士と「18歳からの格差論」の著者でもある慶応義塾大・井出栄策教授の対談。
前原氏と言えば民進党の中の改憲派であり新自由主義論者。
民進党内で持論を展開せず、いっそのこと自民党の中で好き放題語ってくれた方が与野党間の対決軸が明確になっていいのに、と思ってるのは私だけではないだろうし、先の参議院選挙では柴田未来さんの応援で来県したが、柴田さんの主張と食い違う発言をしないだろうかと冷や冷やしたのも私だけではないだろう。
野党共闘にも反対していた前原氏である。
そんな前原氏が先の参議院選挙をどう捉え、今後の民進党の課題や展望をどのように捉えているか、私は全然興味がなかったのだが、「世界」で、かなり踏み込んだ発言をしているとの指摘を耳にし、目を通してみる。
まず野党共闘について、「共闘ゆえに離れた票もあるとは思いますが、32の一人区全部で野党統一候補を立てたことで、票の受け皿ができた。大成果とまではいきませんが各党バラバラで闘っていたらもっと悲惨な結果になっていはずです」と、共闘の効果をはっきり認めている。
次に改憲について、「私は憲法改正が『最優先課題』とはまったく考えていません」と明言。
さらに、「最優先でない」という世界と「やりません」という世界とは違うという井出氏のツッコミに対しても、「いずれ総理になりたいという思いで国会議員を23年間やってきたが、自分自身の集大成として推し進めるテーマが憲法改正だとは思わない」とも。
新自由主義路線についても、井出氏の著書「18歳からの選挙権」や「分断社会を終わらせる」を読んで、「歳出削減イコール改革」という自分のこれまでの考えの間違いに気づいたとし、必要な分配の結果として経済成長につながる、そんなサイクルをつくりたいと発言。成長があっての分配という安倍政権の経済政策との違いを鮮明にした。
さらに対談の締めくくりでは「社会民主主義が今日、さらに日本の状況にそくしたものへとブラッシュアップされた気がします」と驚きの発言。
野党共闘についても、枠組み論ありきでは議論が「逆立ち」とし、「政策論議を深め、共闘のフェイズをさらに進化させる。政策論議のすえの共闘努力こそ、私たちの責任だと思います」とのこと。
前原氏の発言がその通りなら、今後の新代表の下での民進党の政策や党運営に与える影響は小さくないかも。
参議員選挙後、あまり話題のない民進党だが、ここはひとつ注目していきたい。
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