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「完全勝訴となっても不思議ではない」と昨日のブログで書いた。
まさに予想通りの勝訴判決だったが、判決文は原告、弁護団、そして私を含めた多くの支援者の予想をはるかに超える素晴らしい内容だった。
判決内容については、金沢では新聞の号外も発行され、今晩の全国ニュースでも報道されているので省いて、判決傍聴記を書きたい。
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2時に福井地裁集合とのことだったのでやや早め、1時45分ごろに原告団の堂下事務局長とともに裁判所到着。
2時から傍聴の抽選券が配布される。
抽選に並んだ人は212人。傍聴は38人である。
1時半、抽選結果発表。
「35番」の私は1番違いで惜しくもハズレ。
もともと裁判所の外で「勝訴」の垂れ幕を掲げて飛び出してくる原告を待ち受け、喜びの姿を写したいと思っていたので、当たることを期待していなかったがちょっぴり残念でもあった。
すると「36番」をもった富山の原告Wさんが「原告団長はいられ!」と当選の整理券を渡してくれた。感謝!
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法廷はいつもは狭いところだったらしいが今日は裁判員裁判用の大きな法廷。70人は入れそう。
裁判官入廷。
マスコミの撮影で2分間じっとそのまま。
私の隣に座っている福島からの避難者・浅田正文さん、真理子さんと「ドキドキしますね」と言葉を交わす。
撮影後、裁判官は一旦奥に下がり、あたらめて入廷する。
いよいよ判決主文の読みあげである。
「被告は・・・」
「やったぁ!」と私は握り拳をつくって小さく声をあげた。
「原告の・・・」ではじまると「請求を棄却する」となり負け。
「被告は・・・」ではじまると原告の請求通り「大飯3、4号機を運転してはならない」となるのである。
法廷内、割れんばかりの拍手が鳴り響く。
外で待機する支援者に判決を伝えるため弁護士が立ち上がる。
法廷から飛び出さず前に裁判長に一礼する。
法廷の外に出たらダッシュだったとのこと。
喜びに沸く傍聴席。
一方の被告関西電力は代理人の姿すら法廷にない。
被告席はなんと空席のままである。
敗訴を予想していたのか。
いや、むしろどんな判決であろうが、原子力規制委員会のお墨付きをもらって再稼働させるるから判決は関係ないという司法軽視。
そして上級審では負けはあり得ないという下級審への冒涜といったところではないか。
判決理由の読みあげがはじまる。
傍聴席がさらにどよめくのはこれからである。
「原子力発電所の稼働は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由(憲法22条1項)に属するものであって、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである」
「原子力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは、福島原発事故を通じて十分明らかになったといえる。・・・本件原発において、かような事態を招く具体的危険性が万が一でもあるかが判断の対象とされるべきであり、福島原発事故の後において、この判断を避けることは裁判所に課せられた最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる」
「新規制基準への適合性や原子力規制委員会による新規制基準への適合性の審査の適否という観点からではなく(具体的危険が万が一にもあるのかどうどうか)に基づく裁判所の判断が及ぼされるべきこととなる」
※司法の責任、司法の役割が明確に示される。
「我が国において記録された既往最大の震度は岩手宮城内陸地震の4022ガルである。・・・この既往最大という概念自体が、有史以来世界最大というものではなく近時の我が国において最大というものにすぎない」
(10年足らずの間に想定を超える地震が5回も発生した事実は)地震という自然の前における人間の能力の限界を示すもの。
「被告は・・・電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の適否を判断すること自体許されないことであると考えている」
「コストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることこそが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている」
※まさに「お金より命」
「福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠にすることは甚だしい筋違いである」
3.11を踏まえた裁判所の価値観の転換、司法の責任を語る姿勢には裁判長の気迫すら感じる。
技術論でも一般の市民の胸にもすとんと落ちる明快な論旨が展開されるが、上記のような認識が示されるたびに法廷は拍手で湧いた。
喜びよりも感動の判決文の朗読だった。
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法廷には菅直人元首相の姿も。
判決後、会場を教育センターに移し記者会見と報告集会。
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口頭弁論で意見陳述をおこなった浅田正文さんもあいさつ。
判決文では福島の被害を二度と繰り返してはならないという裁判長の決意が随所に盛り込まれていた。
福島の被害の実態を訴えた浅田さんの功績も大である。
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被告・関西電力は判決を欠席しながら、今日、直ちに控訴したという。
判決文を吟味もせずにとにかく再稼動へまっしぐらである。
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次なるステージは名古屋高裁金沢支部。
私たち志賀原発差止訴訟の原告団は先週火曜日に開催した今年度総会で、控訴審の傍聴行動をはじめとした大飯訴訟への支援、連帯の方針を確認している。
志賀をはじめ全国の原発差止訴訟も大飯に続かなくてはならない。
さらに大飯訴訟の一審判決を全国の原告団・弁護団の連帯の下、控訴審でも維持していくことが大きな課題となった。
歴史的な判決、画期的勝利は次なるたたかいのスタートでもある。
脱原発実現へ大きな灯りが灯ったが、その道のりはまだまだ長く遠い。
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