昨年12月21日、ようやく開催された石川県防災会議原子力防災対策部会。
第一回の会議については当日のブログで若干のコメントを書いたが、今日はその関連で少し。
この防災対策部会の部会長は原子力安全基盤機構(JNES)の斉藤実氏である。
この組織については、原子力安全・保安院などと違い原発関連組織でもしらない方が多いと思うが、昨年暮れ、北陸中日新聞の一面のトップを飾った。以下、その時の記事である。
原発の安全研究”丸投げ” 理事職は天下り先 自前の設備なし
原発の検査や安全研究を担う独立行政法人「原子力安全基盤機構(JNES)」が、昨年度に国から受け取った安全研究費のうち、人件費を除く費用の85%を原発関連の公益法人やメーカーなどへの外注費に回していたことが分かった。政府内にもこの実態を問題視する声があり、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は「利害関係のある原子力事業者などへの外注費支出は国民目線から不透明感が否めない」として見直しを求めた。
JNESは昨年度、原子力に関する安全研究費として七十七億五千万円を計上。本紙の調べなどによると、人件費九億八千万円を除く六十七億七千万円のうち、五十七億六千万円が外注費だった。
六分野の十七テーマで安全研究を行ったとされるが、業務費のほぼ全額を外部委託しているケースもあった。効率的な検査の実現などを目指す「非破壊検査技術実証事業」では三億三千五百万円のうち、三億三千二百万円を財団法人「発電設備技術検査協会」に支出。同協会は、事業収入の約半分を原発や火力発電所などの検査料が占め、電力会社と関係が深い。
使用済み核燃料の再処理施設で老朽化に関するデータを得るための調査事業は、一億三千七百万円のうち、一億三千六百万円を独立行政法人「日本原子力研究開発機構」に支払っていた。同機構は高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する。
またJNESは発足以来、就任した十一人の理事のうち、十人が官僚OBか現役官僚の出向であることも判明。経済産業省はこのうち九人を占め、天下り先になっていた。
安全研究の外注について、JNESは「当機構は研究設備を持たないことを原則に発足した。安全研究のためのデータ取得は研究設備のある機関に委託し、(JNESでは)データの解析・分析を行っている」と説明。
経産省原子力安全・保安院企画調整課は「JNESが自前の設備を持つと維持費がかかり、経費削減の観点から外注する方針になった。安全研究はデータをどう使うかが重要で、外注自体に問題はない」としている。
これに対し評価委員会は、JNESが安全研究の見直しを行うとともに、委託先ごとに選定理由や委託業務の内容、契約金額など詳細な情報を開示するよう求めている。
<原子力安全基盤機構(JNES)>
1999年のJCO臨界被ばく事故や2002年の東京電力データ改ざん問題を受け、経済産業省原子力安全・保安院を支援する組織として03年に発足。原発の検査や安全研究を担い、「原子力の安全確保に取り組む専門家集団」を自任する。国のエネルギー対策特別会計から支出される年間約200億円が主な財源。
<原子力安全基盤機構(JNES)>
1999年のJCO臨界被ばく事故や2002年の東京電力データ改ざん問題を受け、経済産業省原子力安全・保安院を支援する組織として03年に発足。原発の検査や安全研究を担い、「原子力の安全確保に取り組む専門家集団」を自任する。国のエネルギー対策特別会計から支出される年間約200億円が主な財源。
さらに同日の記事によると、職員の構成は原発メーカーや電力会社出身者が多く「規制する側」と「規制される側」が混在している実態が指摘されている。
原発メーカー再編であぶれた人材の受け皿組織であった実態は自民党・河野太郎代議士のブログ(2011.10.31)でもすでに明らかにされている。
要するに原子力ムラの住民なのである。
原発は事故を起こすものという認識をしっかり持って、万が一の事故が起こった時の対応を真剣に考えてもらわなければいけない防災専門部会のトップが原子力ムラの住民で、県民の理解が得られるような審議、そして計画の見直しができるのだろうか。
もっともこの斉藤実氏という方、原子力安全基盤機構では、防災専門官や自治体担当者の研修用に炉心溶融から水素爆発に至るシナリオの映像を作成していたそうな(もっともそれが生かされなかったことは福島で明らかだが)。
炉心溶融の進行も早いと指摘しておられるわけで、従来ののんびりした事故進行を想定した計画、そして防災訓練は見直されることだろう。
また、SPEEDIは初期の防護対策の意志決定に用いないよう提言もしておられ、国の案には盛り込まれたそうだ。(こちら参照)
SPEEDIが当てにならないとしたら、どのような初動体制を考えるのか、ぜひ伺いたいところだ。
第一回の会議については当日のブログで若干のコメントを書いたが、今日はその関連で少し。
この防災対策部会の部会長は原子力安全基盤機構(JNES)の斉藤実氏である。
この組織については、原子力安全・保安院などと違い原発関連組織でもしらない方が多いと思うが、昨年暮れ、北陸中日新聞の一面のトップを飾った。以下、その時の記事である。
原発の安全研究”丸投げ” 理事職は天下り先 自前の設備なし
北陸中日新聞(2011/12/26)朝刊
原発の検査や安全研究を担う独立行政法人「原子力安全基盤機構(JNES)」が、昨年度に国から受け取った安全研究費のうち、人件費を除く費用の85%を原発関連の公益法人やメーカーなどへの外注費に回していたことが分かった。政府内にもこの実態を問題視する声があり、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は「利害関係のある原子力事業者などへの外注費支出は国民目線から不透明感が否めない」として見直しを求めた。
JNESは昨年度、原子力に関する安全研究費として七十七億五千万円を計上。本紙の調べなどによると、人件費九億八千万円を除く六十七億七千万円のうち、五十七億六千万円が外注費だった。
六分野の十七テーマで安全研究を行ったとされるが、業務費のほぼ全額を外部委託しているケースもあった。効率的な検査の実現などを目指す「非破壊検査技術実証事業」では三億三千五百万円のうち、三億三千二百万円を財団法人「発電設備技術検査協会」に支出。同協会は、事業収入の約半分を原発や火力発電所などの検査料が占め、電力会社と関係が深い。
使用済み核燃料の再処理施設で老朽化に関するデータを得るための調査事業は、一億三千七百万円のうち、一億三千六百万円を独立行政法人「日本原子力研究開発機構」に支払っていた。同機構は高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する。
またJNESは発足以来、就任した十一人の理事のうち、十人が官僚OBか現役官僚の出向であることも判明。経済産業省はこのうち九人を占め、天下り先になっていた。
安全研究の外注について、JNESは「当機構は研究設備を持たないことを原則に発足した。安全研究のためのデータ取得は研究設備のある機関に委託し、(JNESでは)データの解析・分析を行っている」と説明。
経産省原子力安全・保安院企画調整課は「JNESが自前の設備を持つと維持費がかかり、経費削減の観点から外注する方針になった。安全研究はデータをどう使うかが重要で、外注自体に問題はない」としている。
これに対し評価委員会は、JNESが安全研究の見直しを行うとともに、委託先ごとに選定理由や委託業務の内容、契約金額など詳細な情報を開示するよう求めている。
<原子力安全基盤機構(JNES)>
1999年のJCO臨界被ばく事故や2002年の東京電力データ改ざん問題を受け、経済産業省原子力安全・保安院を支援する組織として03年に発足。原発の検査や安全研究を担い、「原子力の安全確保に取り組む専門家集団」を自任する。国のエネルギー対策特別会計から支出される年間約200億円が主な財源。
<原子力安全基盤機構(JNES)>
1999年のJCO臨界被ばく事故や2002年の東京電力データ改ざん問題を受け、経済産業省原子力安全・保安院を支援する組織として03年に発足。原発の検査や安全研究を担い、「原子力の安全確保に取り組む専門家集団」を自任する。国のエネルギー対策特別会計から支出される年間約200億円が主な財源。
さらに同日の記事によると、職員の構成は原発メーカーや電力会社出身者が多く「規制する側」と「規制される側」が混在している実態が指摘されている。
原発メーカー再編であぶれた人材の受け皿組織であった実態は自民党・河野太郎代議士のブログ(2011.10.31)でもすでに明らかにされている。
要するに原子力ムラの住民なのである。
原発は事故を起こすものという認識をしっかり持って、万が一の事故が起こった時の対応を真剣に考えてもらわなければいけない防災専門部会のトップが原子力ムラの住民で、県民の理解が得られるような審議、そして計画の見直しができるのだろうか。
もっともこの斉藤実氏という方、原子力安全基盤機構では、防災専門官や自治体担当者の研修用に炉心溶融から水素爆発に至るシナリオの映像を作成していたそうな(もっともそれが生かされなかったことは福島で明らかだが)。
炉心溶融の進行も早いと指摘しておられるわけで、従来ののんびりした事故進行を想定した計画、そして防災訓練は見直されることだろう。
また、SPEEDIは初期の防護対策の意志決定に用いないよう提言もしておられ、国の案には盛り込まれたそうだ。(こちら参照)
SPEEDIが当てにならないとしたら、どのような初動体制を考えるのか、ぜひ伺いたいところだ。
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