北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

人口6000人のムラの予算212億!

2017-08-01 | 脱原発
先日の原水禁福島大会のフィ-ルドワークの様子を何回かに分けて報告したい。

   

まず最初は人口6000人の飯舘村の今年度予算について。
一般会計予算はなんと212億3500万円。
「なんと」というのは、珠洲市(約15,000人)の一般会計予算のほぼ2倍という巨額予算だからだ。
震災前は約40億円で推移し、復興予算が増額された昨年度でも91億円。
前年度比は実に230%、120億円増という予算だ。

しかも役場職員数は70人と珠洲市の3分の1。
予算執行を考えると大変な業務量だろうと思う。

この巨額予算の中で33.4%と、もっとも大きな比率を占めているのが教育費だ。
その要因は「学校等再開整備事業(約40億円)やスポーツ公園整備事業(約23億7000万円)だ。

先般紹介した長泥地区(こちら)を除き、居住制限区域、避難指示解除準備区域の避難指示が解除されたことを受け、、子どもたちも含めた住民の帰還を進めるための政策の一環だ。

下の写真は「広報いいたて」7月号に紹介された教育エリアの完成予想図。

   

小中一貫教育の小中学校校舎に認定こども園も敷地内に併設され、0歳から15歳までの一貫教育を掲げている。
体育館は小学校用、中学校用と2つあり、屋内プールも建設される。
校庭は図右端にあるがグラウンドは?というと、学校敷地と道路を一本挟んだ敷地にスポーツ公園整備事業として野球場や陸上競技場、テニスコートや屋内運動場が整備される。

財源を見ると学校整備事業での一般財源からの支出は500万円。大半が国庫支出金だ。
スポーツ公園事業については一般財源からの支出はなしである。

あらためて国の強力な帰還政策が推し進められていることがわかる。

こうした中、今現在の飯舘村の子どもたちはといえば、幼稚園と中学校は福島市内、草野小、飯樋小、臼石小の3小学校は川俣町の仮設校舎で授業を行っている。
震災前の2010年度には村の幼稚園、小学校、中学校に679人の子どもたちがいたが、今はこの仮設の校舎に139人。震災前の予定数の21%とのこと。

   

村教育委員会としては帰還を希望する家庭、そして子どもたちがいるなら最大限できることをしてやりたいということかもしれない。

しかし、学校のすぐ近くにある飯舘村役場の前にある放射線測定器はこんな数値を示している。

   

能登半島の放射線量の約7倍である。
普通に生活していると、能登に暮らす私たちの年間被ばく限度量を大きく超えてしまう線量である。
福島に暮らす人は私たちの20倍までは被ばくを許容するという被曝のダブルスタンダード政策が成せる業である。

少々放射線量が高くとも、高齢者が住み慣れたふるさとで残された余生を送りたいという願いはわからなくもない。
しかし、仮に帰還したいという子どものいる世帯があったとしても、「それはできません、避難先で最大限の支援を行ないます」とするのが政治ではないか。
仮設住宅の立ち退きを進め、自主避難者への住宅支援のう打ち切りも行い、強制帰還を進める政策とセットの巨額教育予算である。




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