今日投開票の珠洲市長選挙は現職の泉谷満寿裕氏が3期目の当選を果たした。
◇投票結果は次の通り。
当日有権者数 投票者数 投票率
男 6,402人 男 4,898人 男 76.51%
女 7,632人 女 5,895人 女 77.24%
計 14,034人 計 10,793人 計 76.91%
◇開票結果は次の通り。
候補者氏名 性別 党派 得票
当選 泉谷 ますひろ 男 無所属 7,939
はまだ たかのぶ 男 無所属 2,712
無効投票 142
投票率は珠洲市長選挙としては1981年の「谷又三郎-河岸二三」選挙に次ぐ過去2番目の低さである。
告示後も盛り上がりを欠く選挙であったから、前回の79.73%を割り込んだ76.91%は予想された範囲内にあるが、残念な数字である。
原因としては、新人濱田隆伸氏の運動がチャレンジ精神に欠け、どうせ現職泉谷氏の当選だろうという雰囲気が広まったことが第一に指摘できる。
加えて泉谷陣営も、よく言えば手堅い組織戦を展開し、政策も里山里海国際芸術祭の開催準備や新たな図書館整備などが盛り込まれはしたが、これまでの議会答弁の範囲内にとどまる内容で、3期目に向け新たに有権者の信を問う内容に乏しかったこともあげられる。
さて、泉谷氏が圧倒的に有利な展開で選挙戦を進める中、焦点は前回の落合誓子氏の得票数、得票率を濱田氏が上回るのかどうかが焦点だったともいえる。
結果は前回の落合氏の票2,504票を208票上回り、得票率も21.1%から25.5%とアップした。
濱田氏の得票数、そして得票率をどう見るか。
泉谷市政批判としては前回を上回ったことになるが、結果として泉谷市政批判は大きな広がりとはならなかった。
①一般的に現職批判はどの自治体でも通常3割程度あってもおかしくはない。今回は濱田票が25.5%に留まったと見るのが妥当。
②前回選挙は落合氏がときの政権政党民主党の看板と詳細なマニフェストを掲げ、真正面から市長を選択する選挙を挑んだ。結果として選挙時期に鳩山政権の支持率の急落、そして落合氏の個性の強さから議員としては評価するが市長には・・・という雰囲気も強く、結果として大差となった。今回は市長の選択というよりは、泉谷市政の批判票を見る選挙という意味合いが強かった。そういう意味では25.5%は一般的には低い数字である。
③組織選挙対草の根選挙にも至らない濱田陣営の選挙という陣形の差を差し引いても、トリプルスコア近い数字では市議を7年務めた濱田氏の善戦とは言い難い。
とはいえ前回選挙から有権者が1195人減少する中、市政批判票が208票増え、泉谷票が1542票も減った意味は軽視してはならない。
政策的な争点は、濱田氏側が焦点を絞り切れずぼやけた感があったが、市民の間では前回の落合票を濱田氏が下回ることがあれば、市長はますます傲慢になると、市長の政治姿勢を不安視する声が多くあった。この8年間、傲慢だったかどうかはともかく、市民の目には市政は「熟議の政治」ではなく「市長が決める政治」として映っていたことは間違いない。
泉谷氏には圧勝の3選に驕ることなく、謙虚さを市民が求めていることを忘れてはならない。
小中一貫教育、小規模校の存続をはじめとした個々の政策課題については、形式的には多くの有権者の皆さんの支持を得たということになるが、これをもってすべてゴーサインと受け止めては大変な勘違いとなる。
選挙中「言ってることは濱田の方が好きだけど・・・」という声を何人もの方から聞いた。濱田氏が市政批判の受け皿としていまひとつ弱かったため、票数としては表面化しなかったが、市政への理解・合意は市長が感じているほど市民には浸透していない。
今後、里山里海国際芸術祭や新図書館整備などの課題を控え、「丁寧な説明」という月並みな表現に留まらない政策決定プロセスの再検討や市民自治の推進という観点からも市政をチェックし直す必要があるのではないか。また少子高齢化、人口減少、世帯数の減少がさらに進むと予測される中、地道な努力の積み重ねは基本的に支持されつつも、地域の将来像をより踏み込んで示していかなければ行政は信頼を失いかねない。平成28年度スタートなる総合指針策定が次の重要な課題となる。
「市長が決める政治」と市民の目に映る責任の一端は議会にもある。
「討議する議会」そして「議決権をもつ議会」として議会本来の役割を果たしていくことが「市長が決める政治」からの転換であり、今後の市政の重要課題であることを議会側も自覚しなければならない。
◇投票結果は次の通り。
当日有権者数 投票者数 投票率
男 6,402人 男 4,898人 男 76.51%
女 7,632人 女 5,895人 女 77.24%
計 14,034人 計 10,793人 計 76.91%
◇開票結果は次の通り。
候補者氏名 性別 党派 得票
当選 泉谷 ますひろ 男 無所属 7,939
はまだ たかのぶ 男 無所属 2,712
無効投票 142
投票率は珠洲市長選挙としては1981年の「谷又三郎-河岸二三」選挙に次ぐ過去2番目の低さである。
告示後も盛り上がりを欠く選挙であったから、前回の79.73%を割り込んだ76.91%は予想された範囲内にあるが、残念な数字である。
原因としては、新人濱田隆伸氏の運動がチャレンジ精神に欠け、どうせ現職泉谷氏の当選だろうという雰囲気が広まったことが第一に指摘できる。
加えて泉谷陣営も、よく言えば手堅い組織戦を展開し、政策も里山里海国際芸術祭の開催準備や新たな図書館整備などが盛り込まれはしたが、これまでの議会答弁の範囲内にとどまる内容で、3期目に向け新たに有権者の信を問う内容に乏しかったこともあげられる。
さて、泉谷氏が圧倒的に有利な展開で選挙戦を進める中、焦点は前回の落合誓子氏の得票数、得票率を濱田氏が上回るのかどうかが焦点だったともいえる。
結果は前回の落合氏の票2,504票を208票上回り、得票率も21.1%から25.5%とアップした。
濱田氏の得票数、そして得票率をどう見るか。
泉谷市政批判としては前回を上回ったことになるが、結果として泉谷市政批判は大きな広がりとはならなかった。
①一般的に現職批判はどの自治体でも通常3割程度あってもおかしくはない。今回は濱田票が25.5%に留まったと見るのが妥当。
②前回選挙は落合氏がときの政権政党民主党の看板と詳細なマニフェストを掲げ、真正面から市長を選択する選挙を挑んだ。結果として選挙時期に鳩山政権の支持率の急落、そして落合氏の個性の強さから議員としては評価するが市長には・・・という雰囲気も強く、結果として大差となった。今回は市長の選択というよりは、泉谷市政の批判票を見る選挙という意味合いが強かった。そういう意味では25.5%は一般的には低い数字である。
③組織選挙対草の根選挙にも至らない濱田陣営の選挙という陣形の差を差し引いても、トリプルスコア近い数字では市議を7年務めた濱田氏の善戦とは言い難い。
とはいえ前回選挙から有権者が1195人減少する中、市政批判票が208票増え、泉谷票が1542票も減った意味は軽視してはならない。
政策的な争点は、濱田氏側が焦点を絞り切れずぼやけた感があったが、市民の間では前回の落合票を濱田氏が下回ることがあれば、市長はますます傲慢になると、市長の政治姿勢を不安視する声が多くあった。この8年間、傲慢だったかどうかはともかく、市民の目には市政は「熟議の政治」ではなく「市長が決める政治」として映っていたことは間違いない。
泉谷氏には圧勝の3選に驕ることなく、謙虚さを市民が求めていることを忘れてはならない。
小中一貫教育、小規模校の存続をはじめとした個々の政策課題については、形式的には多くの有権者の皆さんの支持を得たということになるが、これをもってすべてゴーサインと受け止めては大変な勘違いとなる。
選挙中「言ってることは濱田の方が好きだけど・・・」という声を何人もの方から聞いた。濱田氏が市政批判の受け皿としていまひとつ弱かったため、票数としては表面化しなかったが、市政への理解・合意は市長が感じているほど市民には浸透していない。
今後、里山里海国際芸術祭や新図書館整備などの課題を控え、「丁寧な説明」という月並みな表現に留まらない政策決定プロセスの再検討や市民自治の推進という観点からも市政をチェックし直す必要があるのではないか。また少子高齢化、人口減少、世帯数の減少がさらに進むと予測される中、地道な努力の積み重ねは基本的に支持されつつも、地域の将来像をより踏み込んで示していかなければ行政は信頼を失いかねない。平成28年度スタートなる総合指針策定が次の重要な課題となる。
「市長が決める政治」と市民の目に映る責任の一端は議会にもある。
「討議する議会」そして「議決権をもつ議会」として議会本来の役割を果たしていくことが「市長が決める政治」からの転換であり、今後の市政の重要課題であることを議会側も自覚しなければならない。